■“歪み”はあったのか? 接待問題に揺れる総務省
武田総務大臣が19日の国会でも厳しい追及を受けた。発端は16日、放送事業会社・東北新社の外資規制に関する国会質疑で行われた、総務省・鈴木信也電波部長の答弁だ。鈴木部長が答弁台へ歩き出すと、どこからか「記憶がない」とささやき声が聞こえた。
この声を、野党側は「武田大臣の声だ」と指摘。鈴木部長に「記憶がないと言え」などと指示した疑いに、武田大臣は18日の答弁で「指示した記憶はございません」と否定。しかし、19日の答弁では「無意識で口に出たのでしょう」と一部発言を認めた。
「国民から疑念を抱かれている事実関係は、ご指摘の会合はJR東海葛西名誉会長主催のもので、私も以前からお招きを受けておりました。遅参してまた中座という状況で大変短い時間しかいなかった。葛西会長と世間一般の話をして、大変失礼ながら、私は失礼した次第であります。しっかりと自分の分の費用負担はさせていただいております」(武田大臣)
武田大臣は、JR東海の名誉会長主催の会食で、知らずに澤田社長と同席。食事はせず、わずかな滞在時間だったという。要望依頼は受けておらず、飲食費として1万円を払い、その場を後にしたと明かした。
立憲民主党の蓮舫議員が「それは大臣の認識では、会食ではないという認識でしょうか?」と聞くと、武田大臣は「食事せずとも、お酒は頂きましたので、会食に値するとは思います」と回答した。
蓮舫議員:3月16日の総務委員予算員会。東北新社との面談を問われた電波部長へ『記憶がないと言え』と言われました?
武田大臣:ご指摘の予算委員会の収録を私自身も確認した。確かに『記憶がない』というところまでは、聞き取れた。その予算委員会において、大坂委員と鈴木部長との間で何度も『記憶がない』『記憶がない』を、私の前でやられていて、なぜか私も無意識に口に出たのでしょう。いずれにせよ答弁を指図するようなつもりもないし、その意味もない。
蓮舫議員:次々と珍答弁はやめていただきたい。無意識ということでもいいんですが、言われたということであれば、それは不適切と認めます?
武田大臣:やはり誤解を与えることにつながったのであれば、それは申し訳ないと思っています。
■日本に根付く“会食文化” 「武田大臣が身を持って証明するしかない」
泥沼化している東北新社と総務省の接待問題。このニュースに東京工業大学准教授の西田亮介氏は「日本には民間含め、会食文化が根強くある」と指摘する。
「今回問題になっている会食が、供応接待を禁止する大臣規範に基づいたものになっていたのか。(会食によって)行政に歪みは出ていないのか、当然明らかにするべき。総務省の中でも事実関係を確認する有識者会議が立ち上がっている。会食に関係するメモや支払いなどの情報が出てくれば、歪みを検証することはできるはずだ。しかし、歪みがないかどうかの検証はとても難しい。大臣や官僚は、こういった疑念が沸かないようにやっていかないといけないし、むしろ記録を残し、いつでも公開できるようにしたほうがよいのではないか」(以下、西田亮介氏)
野党は、総務省の会食問題などで続いている不祥事について、菅総理にも責任を追及している。西田氏は「同時に、国家公務員の倫理規定や大臣規範が、どの程度現実に即したものなのかどうか。それもあわせて見直していく必要もある」と話す。その上で、週刊誌の報道後に出たコメントについて「信頼感を損なう」と吐露。
「当事者が『記憶にない』と言っていたものが、週刊誌報道が出てから『そういえばあった』とコメントするのは、どう考えても信頼感を損なう。政治や行政に対して、国民の政治不信を誘発しかねない。ましてや国民の協力を求めてきタイミングだ。大臣規範には『倫理の保持に万全を期するため国民の疑惑を招かないようにする』という趣旨のことが書いてある。国民の疑惑を招かないような振る舞いをしなければならないし、そうしたルールも必要だ。政治と産官の接触は、きちんと記録をとり国民の要請に応じて公開することを前提にしたものにするべきだ。ちなみに現行ルールでは定義は曖昧だが接待もダメということになっている。武田大臣が身を持って証明するしかないが、これはとても難しいだろう」
会食では、許認可に関する要望や依頼の話はしておらず「大臣規範に抵触する会食ではなかった」とした武田総務大臣。少しでも早い事実関係の解明が求められている。
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