7月19日に行われた王座戦挑戦者決定戦で、木村一基九段(48)が佐藤康光九段(51)に勝利し、永瀬拓矢王座(28)への挑戦権を得た。昨年、藤井聡太王位・棋聖(19)に王位戦七番勝負でストレート負けを喫し無冠となった「中年の星」が、わずか1年でタイトル戦の舞台に戻ってきたことで、ファンも大いに沸いている。同時に永瀬王座との番勝負については、早くも“長期化”を予感する声も出始めている。その理由は、両者の棋風と対戦成績によるものだ。
永瀬王座は、将棋に対するストイックな姿勢から「軍曹」「中尉」などと呼ばれ、対局内容も切り合いでスパッと仕留めるよりも、「負けない将棋」に徹底している。形勢が互角と見れば千日手、持将棋もいとわず、確実な勝機を探りにいくタイプだ。木村九段も棋風としては受け。「千駄ヶ谷の受け師」という異名を持ち、相手の攻めを受け潰した後から、一気に攻め倒すスタイルだ。
好勝負が期待されるシリーズになったが、過去の対戦成績は3勝3敗の五分。そして千日手が2回もあった。永瀬王座に千日手が多いことにも由来するが、どちらもじっくりと相手の出方を待てるだけに、リスクを負って前に出る局面はなかなか出てこない。じりじりとした探り合いが続いた末に千日手・指し直しというパターンがこの五番勝負で1回、2回出てもなんら不思議ではない。
挑戦権を獲得した木村九段の会見でも記者から対戦成績について質問が飛んだ。「(永瀬王座とは)あんまりやってないですよね。これほど局数が少ないのはちょっと気になるところ。謎の相手というところがあります。ただあれだけ勝っていますし、将棋を指すのに熱心と感じる方ですので、熱意だけでも負けないようにと思っています」と答えたが、中継していたABEMAのコメント欄では、千日手の話題で大盛り上がりに。「6局で2千日手だとこれは千日手フラグか」「終わらない王座戦に…」「五番で終わらないかも」と、予想大会が始まっていた。
王座戦五番勝負は午前9時に始まり持ち時間は各5時間、開幕となる第1局は9月1日だ。果たして対局が終わるのは何時か、決着がつくのは第何局か。
(ABEMA/将棋チャンネルより)