W杯で日本最大のキーマンになるのは間違いない
日本が誇る稲妻ウイング・伊東純也は、ベルギーのジュピラー・プロ・リーグを代表するアタッカーへと成長した。今季ベルギー国内リーグで積み上げたアシスト数は13本となっており、所属するヘンクの右サイドは伊東の支配するエリアだ。
問題は、日本代表で伊東が送るチャンスボールを誰が決めるかだ。今季国内リーグで13のアシストを記録している伊東だが、カタール大会へ向けたワールドカップ・アジア最終予選では2つしかアシストを記録していない。代表戦で伊東が目立ったのは得点部分の方で、最終予選では4得点も奪っている。
しかし、伊東のチャンスメイク力も活かしたい。ワールドカップ本番へ向け、伊東のチャンスボールを沈めるアタッカーの存在が求められる。
ヘンクで大きいのは、ナイジェリア代表の長身FWポール・オヌアチュの存在だ。伊東は6日と10日に行われたシャルルロワとの2連戦で1つずつアシストを記録しているが、両方ともゴールを決めたのは201cmのサイズを誇るオヌアチュだった。ベルギー『Voetbalkrant』は、伊東とオヌアチュのことを「キングカップル」と評する。右サイドを伊東がスピードでぶっちぎり、ペナルティエリアで待ち構えるオヌアチュが決めるパターンはヘンクお決まりのものだ。
アジア予選では、2次予選も含めれば伊東のアシスト数は8となる。内訳は2次予選で6アシスト、最終予選で2アシストとなるが、そのうち2次予選で決めた6アシストはすべて大勝したモンゴル戦で決めたものになっている。やや物足りないところもあり、まだ代表では伊東のチャンスメイク力を最大限活かせていない印象も受ける。
残念ながら、日本代表にはオヌアチュのように2m級のFWなど存在しない。ハイボールよりは低くて速いボールをペナルティエリアへ送り込むことになるはずだが、果たしてそれを沈めるのはセルティックでブレイクした古橋亨梧なのか、長く代表のセンターフォワードを務める大迫勇也か、それとも鹿島アントラーズで成長する上田綺世のような新星ストライカーなのか。
カタール大会で伊東のスピードが最大の武器になるのは間違いなく、特にドイツとスペインの戦いでは伊東のスピードを活かしたカウンターアタックに活路を見出したい。この部分は6月のブラジル代表戦を含め、ワールドカップ本番までの親善試合で練度を磨いていきたいところで、伊東と相性の良いFWが誰かを見極めていく期間にもなるだろう。
果たして伊東はカタールの地でもアシストを量産できるのか。サムライブルーにもキングカップルが必要だ。