右サイドの争いは最も激しい

今の日本代表で最も争いが熾烈なポジションは、やはり2列目の右サイドだろう。ここは伊東純也がチームのキーマンになっていることに加え、オランダのPSVで活躍する堂安律も右サイドからのカットインを得意とするレフティーアタッカーだ。

また、伊東のバックアッパーとしてセルティックの前田大然やボーフムの浅野拓磨といったスピードスターを招集する案もある。2人は最前線でもプレイできる選手だが、右のウイングに入ることも可能だ。

そしてもう1人、マジョルカの久保建英も右サイドかトップ下が1番合っている。代表の森保一監督が[4-3-3]のシステムを選択するならば、この3人は右サイドのポジションを巡って争うことになる。選考次第では、落選する者も出るかもしれない。

気になるのは久保の立ち位置か。アジアの予選を通して絶対的な地位を確立した伊東、PSVで今季リーグ戦8得点も奪った堂安に比べ、久保はややマジョルカで苦戦している。チーム状況も影響しているが、今季のリーガ・エスパニョーラでは1得点しか奪えていない。ここ最近は途中出場も多く、やはりリーガの下位に沈むクラブで結果を残していくのは難しい。

ただ、10代の頃からのネームバリューもあってか世界からの期待は大きい。

海外メディア『BOLAVIP』の米版では「カタールでワールドカップ初出場を果たすかもしれないスター選手たち」と題した特集を組んでいるが、その中に日本人選手からは久保とリヴァプールの南野拓実が選出されている。南野もリヴァプールに移籍したことで世界的知名度が一気に上がり、日本代表を引っ張るスターの1人と考えられている。南野の方はまず間違いなく本大会でもメンバーに入るだろう。

久保の場合は攻撃の流れを変えるジョーカー的役割を任される可能性が高く、まずは今後の親善試合と来季前半戦のリーグ戦でアピールしていくしかない。そのテクニックが日本人選手の中でもトップに近いレベルにあるのは事実で、良い形でボールさえ受けれられればワールドカップでも違いを生み出せるはず。それを何とかアピールしていきたい。

他に同メディアの特集ではレアル・マドリードで躍動したブラジル代表のFWヴィニシウス・ジュニオール、19歳ではフランス代表MFエドゥアルド・カマヴィンガ&日本と同じグループに入るスペイン代表MFペドリ、今冬にユヴェントス入りしたセルビア代表FWドゥシャン・ヴラホビッチ、なかなか機会のなかったオランダ代表DFフィルジル・ファン・ダイク、そして6月5日に行われる欧州予選プレイオフ決勝に勝利すれば本大会に出場できるウェールズ代表よりFWガレス・ベイルの名前も出ている。ここに久保の名前が入っていることを考えると、やはりその注目度は高い。

今回のワールドカップは冬開催となり、まだ選手たちにはアピールの時間が残されている。それこそ今夏の移籍で状況が大きく変わる選手も出てくるだろう。レアル・マドリードからマジョルカにレンタル移籍している久保もその1人で、もう少し久保の良さを引き出せるクラブでプレイしたい。レアルに戻るのも選択肢の1つだが、リーガ・エスパニョーラでのプレイにこだわる必要もないかもしれない。

果たして今後の半年間で森保ジャパンの右ウイングの序列はどう変わっていくのか。右サイドに限らず2列目は森保ジャパンのストロングポイントの1つでもあり、人材はかなり多い。このサバイバルも、ワールドカップ本番への醍醐味の1つだ。