ブラジル代表が6月5日、国立競技場で翌日の日本代表戦に向けた前日会見に臨んだ。登壇したのは、監督のチッチとコーチのセーザル・サンパイオだった。元ブラジル代表MFのサンパイオは、かつて横浜フリューゲルス、柏レイソル、サンフレッチェ広島でも活躍した元Jリーガーでもある。
チッチ監督は冒頭、「ブラジルと日本の試合は、ワールドカップに相応しいレベル。実際にロシア・ワールドカップでも、私たちはベスト8で戦う可能性があった」とコメント。セレソンの現状については、サンパイオ・コーチがこう語った。
「今のチームは、経験のある選手たちと東京オリンピック世代が融合している。嬉しい悩みだ。とくにスピードと想像力のある選手がFWに加わってきた。依存度が高かったネイマーの肩の荷も降りたよ」
日本代表の印象については、チッチ監督は「日本代表の動画を見て分析してきた。相手もやっているだろう。パラグアイ戦もしっかりチェックした。我々はパラグアイがどれだけ強敵かもよくわかっている。ただ、どんな分析をしたかをここで全て話すわけにはいかないよ」とコメント。続けてサンパイオ・コーチは、次のように付け加えた。
「まずは日本代表のワールドカップ出場を賞賛したい。おめでとうございます。分析して思ったのは、日本代表はとてもバランスの取れたチームで、とくにディフェンスが強固だということ。個人名を挙げれば吉田、長友、遠藤が印象深いし、とくに遠藤はポジショニングがとても良い。前線は非常にクリーエーティブな選手が揃っており、とくに南野と伊東が良い。南野はテクニックがあり、伊東は1対1に強くスピードがある。明日は素晴らしいゲームになるだろう」
長友、南野、伊東はパラグアイ戦に出場しておらず、アジア最終予選を含めてしっかり事前に分析してきたことが伺える。カタール・ワールドカップも見据えたいわば本気モードだ。最新のFIFAランキングは1位で、6月2日には韓国代表を5−1で粉砕してきた世界最高レベルの相手だけに、日本代表にとっては現状の力を測るうえで最高の機会となる。
ちなみに、会見終了後にサンパイオ・コーチは「ありがとうございます。よろしくお願いします」と日本語で挨拶し、会見ルームを和ませた。
取材・文●白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト編集部)