イングランド戦では1ゴールを挙げた
EURO2020ではベスト16で終わり、ヨアヒム・レーヴからハンジ・フリックに監督が代わったドイツ代表。その後の11戦では8勝3分と未だ負けなしをキープしており、チーム力を高めている。8日に行われたイングランド代表とのゲームでは1-1と引き分けることになったが先制するなど勢いはあり、ワールドカップ・カタール大会では強敵として日本代表の前に立ちはだかることになる。
そんなドイツ代表だが気になるのは得点力の低さだ。11戦負けなしではあるが、直近のオランダ戦、イタリア戦、イングランド戦ではすべて1-1でのドローとなっている。対戦相手がW杯やEUROで決勝ラウンドに残ってくるようなチームということもあるが、少し気になる点だ。
だがイングランド戦でゴールを決めたMFヨナス・ホフマンは面白い選手であり、得点源とまでは行かないが、今後攻撃のオプションとして変化を加えられるプレイヤーである。
ホッフェンハイム、ドルトムント、マインツ、ボルシアMGとドイツの複数クラブを渡り歩いた経験を持つ29歳のホフマン。2020年のトルコ戦でフル代表デビューとなった遅咲きの選手で、今季は怪我での離脱もあったが28試合で12ゴール6アシストを記録している。多くのポジションをこなせるユーティリティ性を持っており、クラブでは右サイドハーフやシャドー、右ウイング、中盤とアドルフ・ヒュッター監督に重宝されていた。
イングランド戦では[3-4-3]の右ウイングバックで起用されており、51分に先制点を挙げている。この試合で見られたホフマンの強みは効果的なオフザボールの動き出しだ。ホフマンは従来のウイングバックが見せる縦の動き以外に中央にポジションを取る横の動き出しを見せる選手で、場面によってはストライカーのようにボックス内でクロスを待つこともある。ゴールを奪った51分の場面はまさにその動き出しが効いており、イングランド守備陣はホフマンにマークを付けることができず、失点を喫している。
この神出鬼没なポジショニングは非常に厄介だ。外と中をその場に応じて使い分けており、攻撃に厚みを作り出す。オフサイドで取り消しとなったが、23分の場面ではセンターバックのニコ・シュロッターベックのロングフィードに右ウイングバックのホフマンが中央から抜け出してゴールネットを揺らしている。残念ながら取り消されることになったが、常に裏を狙っており、日本代表はこのランニングに注意しなければならない。
イングランド戦ではチームの中で最も得点の匂いがしたホフマン。厄介な選手であり、今後の活躍に注目したい。