強烈な世代交代スピード

前回のロシア大会も若手が目立つ将来性豊かなチーム構成だったのだが、イングランド代表の世代交代ペースが早すぎる。

4年前のロシア大会では20歳だったFWマーカス・ラッシュフォード、22歳だったMFデル・アリ、ルーベン・ロフタス・チーク、24歳だったDFエリック・ダイアー、ジョン・ストーンズ、25歳のDFハリー・マグワイア、MFジェシー・リンガードらがメンバーに入っており、彼らは4年後のカタール大会でも主力と考えられた。

しかし、ダイアーやデル・アリ、ラッシュフォード、リンガード、ロフタス・チークはメンバーにすら入れない可能性がある。デル・アリはトッテナムで大きくフォームを崩し、それは移籍したエヴァートンでも改善されていない。ラッシュフォードもこの4年で大きく成長した印象はなく、リンガードもクラブでの活躍が物足りない。

さらに4年前はDFダニー・ローズ(当時27)、FWダニー・ウェルベック(27)、DFフィル・ジョーンズ(26)、MFファビアン・デルフ(28)、DFガリー・ケイヒル(32)、MFアシュリー・ヤング(32)ら中堅世代もメンバー入りしていたが、彼らも現在は代表から離れている。32歳だったケイヒルとヤングは別として、20代半ばの選手たちは本来4年後のカタール大会も狙えたはず。しかし、今のイングランドで居場所を守っていくのはかなり難しい。

英『Daily Mail』はロシア大会から16人は顔ぶれが変わる可能性があると取り上げているが、今も主力と呼べるのはGKジョーダン・ピックフォード、DFカイル・ウォーカー、FWハリー・ケイン、ラヒーム・スターリング、DFトレント・アレクサンダー・アーノルド、キーラン・トリッピアー、MFジョーダン・ヘンダーソンくらいか。

マンチェスター・ユナイテッドのマグワイアもメンバーには入っているが、国内でもあまり人気がない。マンUでのパフォーマンスがやや不安定なこともあり、若いマーク・グエーイやフィカヨ・トモリの方が評価は高くなってきている。

まさかロシア大会から半数以上のメンバーが代わるとは予想外だったかもしれないが、それだけ若手に勢いがある証拠だ。中盤ではジュード・ベリンガム、コナー・ギャラガー、フィル・フォーデン、前線ではブカヨ・サカなど、2000年代生まれの選手も増えた。彼らはいずれも主力になれる実力者だ。

この激しいサバイバルは選手たちにとって強烈な刺激となっているはずで、競争が選手をレベルアップさせる側面もある。若い力でカタール大会の頂点まで駆け上がれるのか、4年前からガラリと変わったイングランドは優勝候補の一角だ。