チュアメニのスーパーミドルがフランスに先制点をもたらした
MATCH 59 準々決勝
2022年12月10日 22:00キックオフ(アル・バイト・スタジアム)
イングランド 1-2 フランス
FIFAワールドカップ・カタール大会の準々決勝では、ベスト4最後の一枠をかけ、イングランドとフランスの優勝経験国同士が対戦。両チームともに爆発的な攻撃力を誇るチームで、イングランドはここまで前線のタレントたちが満遍なくゴールを奪っている。一方のフランスは今大会すでに5ゴールを決めるなどエース・ムバッペが躍動。イングランドDF陣がムバッペを抑えられるかどうかが注目となる。
両チームともに一進一退の攻防を見せた序盤。4分にはイングランドのフォーデンがこの試合最初のシュートを放ったが、これは相手DFにブロックされてしまう。対するフランスも11分、デンベレの右からのクロスにジルーが飛び込んで合わせたが、シュートはピックフォードの正面に飛んでいる。
その後もじりじりとせめぎ合う展開が続いたが、17分に試合が動く。ムバッペが味方と連携しながら攻め上がると、イングランド陣内でグリーズマンからチュアメニへとボールが渡り、エリア外からミドルシュートを放つ。ベリンガムの股を抜けたボールは曲がりながらゴール左隅へと突き刺さり、フランスが貴重な先取点を奪った。
リードを許してしまったイングランドも負けじと反撃に出る。22分にはエリア内でパスを受けたケインが、トラップせずにそのまま反転。ロリスと1対1の局面を作り出したが、ループ気味のシュートは惜しくもセーブされた。さらに29分、再びケインがフランスゴールに迫る。エリア手前から放ったシュートがディフレクションしながら枠に飛んだが、これもロリスがファインセーブで阻止した。
前半終盤は、しっかりとブロックを敷くフランスに対し、イングランドが攻めあぐねるという構図が続いた。それでもフランスが隙を見て要所で攻撃に出る。39分にはトリッキーなFKからムバッペへとボールが渡ったが、シュートはバーの上へ。試合の緊張感は最後まで緩むことなく、0-1のスコアでハーフタイムを迎えた。
フランスはイングランドにリードを許さず
後半の立ち上がりに試合の流れを掴んだのはイングランドだった。47 分、CKの流れからベリンガムが強烈なシュートを放ったが、ここはロリスが好反応を見せ、枠の外へとかき出した。ところが52分、ドリブルでフランス陣内へ切り込んだサカがチュアメニに倒され、イングランドがPKを獲得。ケインが勢いよくゴール左へ蹴り込み、良い時間帯に同点に追いついた。
こうなるとフランスも攻勢に出ざるを得ず、徐々に試合のテンポが上がっていく。しかし、勢いに乗るのはやはりイングランド。70分には右からのFKにマグワイアが頭で合わせたが、ボールは左ポストをかすめ、わずかに外れる。72分にはショーが左サイドを縦に突破。ファーにいたサカがグラウンダーのクロスに反応したが、テオ・エルナンデスがしっかりとサカについていき、自由にシュートを打たせなかった。
今度はフランスのターンがやってくる。77分、ラビオの左からのクロスをデンベレが頭で折り返すと、ジルーが枠内へシュート。ここはピックフォードがビッグセーブを披露し、ピンチを凌いだ。それでもフランスの波状攻撃は止まない。グリーズマンの左からのクロスにジルーが頭で合わせると、今度はピックフォードの手も届かず。78分にフランスが追加点を奪った。
再び同点に追いつきたいイングランドは、サカ、ヘンダーソンに代えてスターリング、マウントを投入。すると80分、後ろからのロングボールに反応したマウントをテオ・エルナンデスがエリア内で押し倒してしまう。一度はそのまま試合が続行されたが、VARが介入し、主審はイングランドにこの試合2度目のPKを指示。キッカーは今回もケインが務めたが、シュートをバーの上へと外してしまい、試合を振り出しに戻すことはできなかった。
それでも諦めないイングランドは、この直後にラッシュフォードをピッチに送り出す。試合終了間際に絶好の位置でFKを獲得すると、ウェールズ戦で直接FKを決めていたラッシュフォードがシュート。しかしボールはわずかにゴール右上へと外れ、1-2のまま試合終了のホイッスルを迎えた。
要注意人物だったムバッペを抑えることには成功し、それなりにチャンスも作り出していたが、勝利を手にすることができなかったイングランド。試合巧者ぶりを見せた前回王者フランスが見事にベスト4進出を決めた。彼らの次の相手はスペイン、ポルトガルを破って勝ち上がってきたモロッコとなるが、大物食いを阻止し、2大会連続の決勝進出を果たすことができるか。
[スコア]
イングランド 1-2 フランス
[得点者]
イングランド
54分 ハリー・ケイン(PK)
フランス
17分 オーレリアン・チュアメニ
78分 オリヴィエ・ジルー
[ポゼッション]
イングランド 49% フランス 34% 中立17%
[シュート数]
イングランド 15 フランス 8
[枠内シュート]
イングランド 7 フランス 5
[イエローカード]
イングランド 1枚
ハリー・マグワイア
フランス 3枚
アントワーヌ・グリーズマン
ウスマン・デンベレ
テオ・エルナンデス
[レッドカード]
なし
[ラインナップ]
イングランド
フォーメーション:[4-3-3]
監督:ガレス・サウスゲイト
GK
ジョーダン・ピックフォード(エヴァートン)
DF
カイル・ウォーカー(マンチェスター・シティ)
ルーク・ショー(マンチェスター・ユナイテッド)
ジョン・ストーンズ(マンチェスター・シティ)
ハリー・マグワイア(マンチェスター・ユナイテッド)
MF
デクラン・ライス(ウェストハム)
ジョーダン・ヘンダーソン(リヴァプール)
ジュード・ベリンガム(ボルシア・ドルトムント/ドイツ)
FW
フィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)
ハリー・ケイン(トッテナム)
ブカヨ・サカ(アーセナル)
交代出場
79分 ジョーダン・ヘンダーソン→メイソン・マウント(チェルシー)
79分 ブカヨ・サカ→ラヒーム・スターリング(チェルシー)
85分 フィル・フォーデン→マーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)
90(+8)分 ジョン・ストーンズ→ジャック・グリーリッシュ(マンチェスター・シティ)
フランス
フォーメーション:[4-5-1]
監督:ディディエ・デシャン
GK
ウーゴ・ロリス(トッテナム/イングランド)
DF
ラファエル・ヴァラン(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
ジュール・クンデ(バルセロナ/スペイン)
ダヨ・ウパメカノ(バイエルン/ドイツ)
テオ・エルナンデス(ACミラン/イタリア)
MF
オーレリアン・チュアメニ(レアル・マドリード/スペイン)
アドリアン・ラビオ(ユヴェントス/イタリア)
アントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード/スペイン)
キリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)
ウスマン・デンベレ(バルセロナ/スペイン)
FW
オリヴィエ・ジルー(ACミラン/イタリア)
交代出場
79分 ウスマン・デンベレ→キングスレイ・コマン(バイエルン/ドイツ)