相手を翻弄した奇妙な動きでPKストップ

プロの世界ではなかなか見られないケースだが、13日に2022ワールドカップ・カタール大会大陸間プレイオフでペルー代表と対戦したオーストラリア代表は、PK戦突入が間近に迫る延長後半アディショナルタイムにGKを変更する決断を下した。

これまでゴールを守ってきた守護神マシュー・ライアンを下げ、代わりに33歳のアンドリュー・レッドメインがピッチに入ったのだが、このレッドメインがPK戦のヒーローとなった。

国内のシドニーFCでプレイするレッドメインは、33歳ながらこれが代表3試合目だった。おそらく世界のほとんどのファンはレッドメインを知らなかっただろう。

しかし、監督グラハム・アーノルドの策は当たった。レッドメインはゴールライン上で奇天烈な動きを繰り返してペルーのキッカーを惑わし、見事に6人目のアレックス・エドゥアルドのPKをストップ。オーストラリアをワールドカップの舞台へと導いた。

ペルーは3人目のルイス・アドビンクラもポストに当てて失敗しているが、このキックもレッドメインは飛んだコースが当たっていた。レッドメインをPK専門GKとしたのは大正解だったと言える。

オーストラリア公式サイトによると、監督のアーノルドは「見てくれ。レッドメインは非常に優れたPKセーバーだ」と称賛。GK交代を想定していたアーノルドの手腕も見事と言える。

レッドメイン本人は「こうした状況を想定し、このアイディアは事前に選択されたものだった。ここ2、3週間、僕も準備していたしね。僕はヒーローではない。僕は今夜みんなと同じように自分の役割をこなしただけさ」と振り返る。

また、オーストラリアはレッドメイン投入と同タイミングにFWクレイグ・グッドウィンも投入しており、このグッドウィンも3人目を担当してきっちり決めている。一発勝負ならではと言えるが、PK戦まで想定してプランを練っていたオーストラリアの完璧な作戦勝ちだった。