6月は親善試合で苦戦するアジア勢が目立った
勝負は始まるまで分からないが、ワールドカップにおいてアジア勢は世界から格下と見られてしまっている。今年のカタール大会に出場するアジア勢は日本、韓国、サウジアラビア、イラン、大陸間プレイオフを制したオーストラリア、そして開催国カタールの6チームだが、果たして何勝できるだろうか。
不安なのは、今月に行われた親善試合の結果だ。日本も試合の中で収穫はあったが、チュニジア代表に0-3で敗れてしまうなど苦い結果ではあった。本番までのテスト段階ではあるものの、それでも不安は残る。
韓国も感触は似たようなものだろう。今月には日本も対戦したブラジル代表とも戦っているが、韓国は1-5のスコアで敗れている。やはり強豪との間には差があり、守備には課題があるか。パラグアイ代表とも2-2で引き分けるなど、こちらもワールドカップへ準備万端というわけではない。
現アジアNo.1と評されることもあるイランも何やら騒がしい。今年の3月にはアジア最終予選でライバルの韓国に0-2で敗れ、今月の親善試合でもアルジェリア代表に1-2で敗戦。英『The Sun』はこの結果から代表監督のドラガン・スコチッチに対する風当たりが強くなっていると伝えており、以前イランを指揮していたベテランのカルロス・ケイロス復帰案まで飛び出しているという。
イランにはFWサルダル・アズムン、メフディ・タレミ、アリレザ・ジャハンバクシュなど旬なタレントが揃うが、本番5カ月前に監督人事でドタバタするようでは怪しい。
サウジアラビアは今月の親善試合でコロンビアに0-1、ベネズエラに0-1のスコアで敗れており、こちらも結果は出ていない。大陸間プレイオフを制したオーストラリアは読みにくいところがあり、大陸間プレイオフのペルー戦ではメンバーが一部変更となっていた。とはいえ、アジア最終予選をスムーズに突破できなかった事実は大きく、タレント力はティム・ケイヒルらの世代に比べると劣る。ワールドカップで勝てる陣容かは疑わしい。
最後に開催国カタールだが、こちらはホームアドバンテージをどこまで活かせるかだ。今月21日にはアイルランドのリンフィールドとトレーニングマッチをおこなって0-1で敗れており、単純な実力勝負で欧州の強豪と戦うのは厳しいだろう。
日本はグループステージでドイツ、コスタリカ、スペインと同居しており、アジア勢の中では一番しんどいグループを引いてしまった。現段階で日本のグループ突破を信じている世界のサッカーファンは少数だろう。
韓国はポルトガル、ウルグアイ、ガーナと同居しており、いずれも経験豊富だ。特にポルトガルとウルグアイは厄介な相手で、こちらもグループ突破へハードルは高い。
イランはイングランド、ウェールズ、アメリカと同居しており、ここはイングランドに次ぐ2つ目のスポットを巡る争いが盛り上がるだろう。イランにもチャンスがあるはずで、アジア勢の中では最も期待できるグループか。
サウジアラビアはアルゼンチン、ポーランド、メキシコと同居しており、戦力的には厳しい。アルゼンチンは優勝候補の一角であり、メキシコも7大会続けて決勝トーナメントに進んでいる試合巧者だ。
オーストラリアは前回王者フランス、デンマーク、チュニジアと同じグループで、望みは薄い。フランスはもちろん、デンマークもEURO2020でベスト4に入るなど勢いに乗っている。チュニジアも渋い戦いをするチームで、その厄介さは日本代表も知っている。簡単に崩せる相手ではない。
開催国のカタールはオランダ、セネガル、エクアドルを相手にすることになり、サポーターの声援や気候などがどこまで力になるかが勝負か。単純勝負では1勝できるかどうかも怪しい。
ちなみに前回のロシア大会はイラン、サウジアラビア、韓国、日本が1勝ずつ挙げており、このうち決勝トーナメントに進んだのは日本のみ。その日本もベスト16で敗れてしまったため、アジア勢は4勝だ。
今回はこれを超えたいが、グループの組み分けや今月の親善試合を見る限り自信を持ってプッシュできるチームは少ない。何とか意地を見せたいところだが、アジア勢は決勝トーナメントに何チーム送り込めるか。