I have a dream――。かの有名なキング牧師同様、堂安律には夢がある。24歳の日本代表MFは、アメリカの大手スポーツチャンネル『ESPN』で、「自分のキャリアに満足しているわけではない」と、満たされない気持ちを淡々と語った。

「もし幸せだと言うなら、マンチェスター・ユナイテッドやレアル・マドリー、あるいはバルセロナでプレーしているだろう。それは僕の夢だった。でも幸せじゃないからこそ、もっともっと良くなりたいと思う。

 まだ24歳なのに、すでに5クラブに所属しているのはちょっと不思議な感じだけど、どれも素晴らしいクラブだ。ガンバ大阪、フローニンヘン、PSV、ビーレフェルト、そして今はフライブルクでプレーできてとても嬉しい。だけど全てが上手くいっているのなら、もっと大きなクラブでプレーしているはず。だから現状に満足はしていない」

 堂安は今夏に加入したフライブルクでの初陣で、延長戦に直接FKで決勝点を叩き込み、鮮烈なデビューを飾ると、アウグスブルクとのリーグ開幕戦でもゴール。新天地で順調なスタートを切った。その裏にはオランダの名門での苦い過去があるようだ。

「PSVに移籍した最初のシーズンは、僕にとって最悪だった。でもそのなかで考え方も変わった。あまり考えすぎず、1試合1試合に集中するようになった。結果的には、それが良い経験になった。今は代表やフライブルクでプレーするとき、以前はそうでなかったのに、とても快適にプレーできている」
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 今年の11月には、グループステージでドイツ、スペイン、コスタリカと同居するカタール・ワールドカップ(W杯)が控える。堂安は「ワールドカップがどんな感じなのか、想像もつかない。子どものころの最大の夢だった」と言い、日本代表への熱い思いも覗かせる。

「日本代表としてプレーできるのはとても光栄だ。代表のユニホームを着るたびに、自分自身と家族を誇りに思う。最終メンバー入りを果たせたら最高の1年になる。得点できれば、もっといい! 

 もちろんドイツやスペインはビッグネームだけど、ポジティブであり続けなければならない。この3、4か月で(チームの)質は大きく変わらないが、メンタリティは変えられる。自分たちの気持ちをコントロールし、ベストを尽くして、あとは見てのお楽しみだ。きっと特別な何かができるはずだ」

 世界一の国を決める4年に1度の大舞台以外に、若き野心家を突き動かすものがある。欧州クラブ最高峰の戦い、チャンピオンズ・リーグだ。

「チャンピオンズ・リーグでの優勝。これが僕の最大の夢だ。20歳のとき『チャンピオンズ・リーグで優勝したい。ベンチではなく、ピッチに立ち続けたい』と言った。それは、世界のビッグクラブでプレーし、ハードワークする必要性を意味する。だけど、それ以外にもやるべきことはたくさんある。それは変わっていない」

 まず1つの夢である、W杯出場を叶えるために。ビーレフェルト時代以来、2年ぶりに戻ってきたブンデスリーガで、森保一監督が日本代表メンバーに選ばれざるを得ないほどの圧倒的なアピールを続けたい。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部