彼らはW杯を面白くさせる

サッカー界全体のレベルは間違いなく向上しており、それを感じさせるのが欧州で開催されているネーションズリーグの戦いだ。

ネーションズリーグに対する熱量はチームによって異なるところもあるだろうが、今年のネーションズリーグでは欧州第2集団とも言えるチームの頑張りが目立つ。今月のネーションズリーグではスイス代表がスペイン代表を2-1、デンマーク代表がフランス代表を2-0で撃破してみせた。

スイスとデンマークの両チームはワールドカップ・カタール大会にも出場するチームだが、優勝候補に挙げられているわけではない。しかし選手のクオリティと組織力は極めて高く、一発勝負なら優勝候補と目されるフランスやスペイン相手にも互角に戦うだけの力を備えている。デンマークはこのネーションズリーグでフランス相手に連勝を収めており、両国はカタール大会でも同じグループDに入っている。ワールドカップに対する本気度はフランスも違うだろうが、デンマークが勝利したとしても番狂わせではない。

またワールドカップ出場権は逃したものの、ハンガリー代表は23日にドイツ代表を1-0で撃破しており、今月のネーションズリーグでは世界的強豪国が苦戦を強いられるケースが目立っている。

もう1つ注目したいのは、24日にスウェーデン代表を4-1で撃破したセルビア代表だ。立役者はフラムでも好調のFWアレクサンダル・ミトロビッチで、スウェーデン相手にハットトリックを達成。前線の相棒にはユヴェントスFWドゥシャン・ヴラホビッチも構えており、今のセルビアはなかなかのタレント軍団だ。

先日スペインを撃破したスイス、好調のセルビアはワールドカップでグループGに入っており、ブラジル代表、カメルーン代表と同居している。突破最有力はブラジルだが、スイスとセルビアも侮れない。ブラジルとて油断できない相手で、苦戦を強いられるかもしれない。

デンマークやスイス、ドイツを撃破したハンガリーに共通するのは組織的で粘り強い守備と、相手のプレスを確実にかわすテクニック、それからセットプレイを大事にしていることだ。現代サッカーにおいてセットプレイの重要性は増しており、強豪国を崩すにはセットプレイを上手く使う必要がある。ここはグループステージでスペイン、ドイツと戦う日本代表も手本にすべきところだ。

ネーションズリーグの戦いぶりを見ていると、今回のカタール大会では欧州の準強豪とされるチームが躍進する可能性がある。もちろん優勝候補とされるチームも注目だが、スイス、セルビア、デンマーク、前回大会準優勝のクロアチア代表といったチームも見逃せない。今月のネーションズリーグの結果から、ワールドカップでの波乱を予感したサッカーファンは多いはずだ。