代表での働きを見るか、クラブでの働きを見るか

EURO2020ではベスト4の好成績を残し、今回のワールドカップ・カタール大会に臨むスペイン代表。2010年の南アフリカ大会で優勝して以来、低調な成績に終わっており、前回のロシア大会では開催国ロシアに敗れベスト16で散ってしまった。

直近の欧州選手権での躍動もあって期待されているスペイン代表だが、現在行われているUEFAネーションズリーグでは精彩を欠いてしまっている。直近のスイス戦は一度追い付くも再び突き放され、1-2で敗れた。28日にポルトガルとのグループステージ最終戦が予定されており、勝利となれば4強進出だが、ポルトガルは5試合でわずか2失点と堅守を誇っている。

英『The Athletic』ではスイス戦の敗因を分析しており、”(継続して)試合に出場してない選手を頼るのか?”と所属クラブで定期的にプレイしていない選手が多いと分析する。

前線3トップがまさにそうで、右からフェラン・トーレスはバルセロナで173分、マルコ・アセンシオはレアル・マドリードで12分、パブロ・サラビアはパリ・サンジェルマンで168分しかプレイできていない。最終ラインでは両サイドバックのジョルディ・アルバとセサル・アスピリクエタも絶対的なスタメンではなく、今季はベンチから戦況を見つめることが多い。

指揮官であるルイス・エンリケはスイス戦の前に「私は彼らがクラブで何をしているかよりも、彼らが代表チームで何をしてきたか、何をしているかを重視する」と話していたが、そのスイス戦で選手たちは低調なパフォーマンスに終始しており、「私の代表監督時代に、これほど多くの選手が技術的なミスを犯した記憶はない」と選手の状態に問題があったと敗因を分析している。

代表チームでの貢献度も大事だが、所属クラブでのパフォーマンスはより重要になる。実際にアメリカ戦に勝利した日本代表では久保建英と鎌田大地の2人が活躍した。今季所属チームで積極的に起用されている選手たちであり、実戦でどれだけプレイしているかはその選手の調子を見極める判断材料になる。

しかしエンリケは今の方針を変えることはないと同紙は分析する。以前「この代表チームには独自のスタイルがある」と語っており、合わない選手、例えばセルタで好調を維持しているイアゴ・アスパスらはスペイン代表に適応していないため呼ばれることはない。

スペイン代表のFW陣はミケル・オヤルサバル、ダニ・オルモ、ジェラール・モレノと実力者は多いが、前述した3人は怪我に悩まされている。クオリティがあり、EURO2020でも躍進を支えたが、彼らには頼れない。

所属クラブでのパフォーマンス関係なく、代表での経験値をエンリケが求めるとすれば日本代表にもチャンスはあるか。本戦ではまたメンバーが代わることになるが、スイス戦でのアルバ、アスピリクエタの両SBに対して日本は三笘薫と伊東純也を当てられる。ポルトガル戦での出来次第だが、スペイン代表はW杯・カタール大会で苦しむことになるかもしれない。