若手とベテランが上手く融合した好チームに
優勝に近づきながらも、頂点に届かない。オランダ代表は何度もワールドカップで悔しい思いを経験してきた。故ヨハン・クライフ氏のいた1974年大会、続く1978年大会では2大会続けてファイナルまで進んだが、どちらも準優勝。
2010年大会ではアリエン・ロッベン、ウェズレイ・スナイデルらを軸にファイナルへ進んだが、激闘の末スペインに敗れた。継続的にワールドクラスのタレントを輩出してきた国ではあるのだが、あと一歩のところで栄冠を逃してきた。
では、今回のカタール大会はどうだろうか。大会前の段階ではオランダを優勝候補筆頭に推す声はあまり多くない。前述したロッベンやスナイデルらが主力を務めていた2010年代のチームの方が人気は高かったかもしれない。
しかし、英『HITC』は今のオランダに優勝を狙うだけの力があるとプッシュする。やや地味な構成に見えるかもしれないが、今のチームも攻守両面で優秀なタレントが揃っている。
特に最終ラインはフィルジル・ファン・ダイク、マタイス・デ・リフト、ステファン・デ・フライ、ユリエン・ティンバー、ウイングバックに経験豊富なダレイ・ブリント、マンチェスター・ユナイテッドへ加入したタイレル・マラシア、インテルの大型WBデンゼル・ダンフリースなど実力者が揃う。守備陣の安定感は歴代の中でもトップクラスだろう。
攻撃はメンフィス・デパイに頼りがちなところはあるが、ステーフェン・ベルフワインを筆頭にタレントは揃っている。それらを経験豊富な名将ルイ・ファン・ハールが上手くまとめており、今年のネーションズリーグもオランダは6試合を無敗で駆け抜けるなど好調だ。ベルギー、ポーランドといったワールドクラスのアタッカーを揃えるチーム相手にも失点を抑えており、やはり守備は信頼できる。
経験豊富な指揮官ファン・ハールと、中堅世代のデパイ、ファン・ダイク、そこにティンバーのような若手が入っている今のオランダはバランスが良く、カタール大会制覇を狙う準備は整っているのではないだろうか。