ネーションズリーグで強豪が勝ち点を落としている
ワールドカップ優勝候補とされる欧州の強豪は、今月のネーションズリーグの結果をどこまで真剣に受け止めるべきだろうか。ワールドカップ・カタール大会まで準備期間が限られてきた中、優勝候補とされるチームが躓いている。
英『Daily Mail』が危ない本命候補として名指ししたのは、ドイツ代表、スペイン代表、イングランド代表、そして前回王者フランス代表だ。
ドイツとスペインを優勝候補に挙げるべきかは意見が分かれるだろうが、優勝を狙うだけのタレントが揃っているのは間違いない。しかしスペインは今月のネーションズリーグでスイス代表に1-2で敗れており、6月にはチェコ代表とも2-2で引き分けるなど万全の状態とは言い難いか。
相変わらず続くストライカー問題、さらにセルヒオ・ラモスが抜けている最終ラインの統率も気がかりだ。若い実力者は多いが、ワールドカップ未経験者も少なくない。グループステージでは日本代表と同居しているが、日本にもチャンスがあるだろうか。
同じく日本と同じグループのドイツは、ハンジ・フリック就任から良い流れが生まれていたはずだ。しかし今月はハンガリー代表に0-1で敗れ、26日にはイングランド代表と3-3で引き分けた。イングランドとのゲームは決して悪い内容ではなかったが、2-0とリードしたところから逆転されるなど、らしくない展開ではあった。
また今年のネーションズリーグは6試合で1勝4分1敗と引き分けが目立つ。スペインと同じくセンターフォワードがはっきりしないところがあり、決定力不足の印象もある。これが初戦の日本戦にどう影響してくるのか注目だ。
ドイツと引き分けたイングランドもバタバタしている印象が強い。主力選手の一部が所属クラブで出番を確保できていない問題もあり、今回のドイツ戦でもマンチェスター・ユナイテッドで出番の限られているDFハリー・マグワイアに致命的なミスが起きてしまった。カタール大会で誰を信頼するのか。代表監督ガレス・サウスゲイトはもう一度システムを見直すべきだろう。FWラヒーム・スターリングなどお気に入りの選手に固執する傾向があり、ひとまず昨夏のEURO2020で完成したチームのことは忘れるべきかもしれない。
最後に王者フランスだが、先日にはデンマーク代表に0-2で完敗。何と今年のネーションズリーグでは6試合を戦って1勝しか挙げることができず、カタール大会を前に不安な結果だ。何より近年のワールドカップでは前回王者がグループステージで消えるなど苦戦する傾向が続いており、フランスもポール・ポグバやエンゴロ・カンテなど負傷者を含め万全の状態とは言い難い。代表監督ディディエ・デシャンは3バックも積極的にテストしていたが、これもフィットしているのか微妙なところ。こちらもカタール大会を前に前回優勝メンバーをどこまで信用するのかを含め、冷静にメンバーを選んでいく必要がありそうだ。
そんな中、同メディアがダークホースとして名前を挙げたのがオランダ代表とクロアチア代表だ。どちらも実力のあるチームで、ダークホースとの表現は適切ではないかもしれない。しかしフランスやイングランドに比べて優勝候補と考えられていたわけではない。
それでもオランダとクロアチアはネーションズリーグで見事な戦いぶりを披露しており、カタール大会でも上位進出を期待できる。
あとは南米組から絶好調のアルゼンチン代表とブラジル代表が優勝候補に挙げられており、欧州組の戦いを見る限りはアルゼンチン&ブラジルは優勝候補の本命と言っていいかもしれない。新型コロナウイルスの影響もあって欧州の強豪とテストマッチを組めていないのは気にかかるが、南米での戦いぶりは圧倒的だ。
果たしてネーションズリーグの結果はカタール大会へどう影響するのか。日本が対戦するドイツ、スペインにも不安要素があるのが面白いところで、日本、コスタリカ、ドイツ、スペインが同居するグループEでも波乱が起きるかもしれない。