11月20日に開幕を迎える、2022FIFAワールドカップ・カタール大会(カタールW杯)。サッカー日本代表は9月にキリンチャレンジカップ2022にて、アメリカ(23日2-0)とエクアドル(27日0-0)と対戦。W杯開幕直前の11月17日にはカナダとの親善試合が組まれているが、選手たちにとって本大会のメンバー発表(11月1日)前の実質最後のアピールチャンスとなった。
当然ながら、今後残りの短い期間での所属クラブでの活躍や怪我などのコンディション面も重要な選考基準になるだろう。基本的にW杯メンバーは、9月に代表招集された30名に加え、これまでの常連となっていたFW大迫勇也、DF板倉滉らを含めた30余名から選ばれることは間違いない。
カタールW杯では、前回大会までの23人枠が26人までに拡大。戦術的な面でも3名を多く選出できることはとても大きい。選手たちから見てもメンバー選出の可能性は高くなり、モチベーションアップにもつながっていることだろう。
しかし、全サッカー選手が目指す最高峰の舞台ともいえるW杯。当然落選する選手は出てくる。日本代表の比較的新しいW杯の歴史の中でも、過去多くの選手たちが涙を飲んだ。ここでは、過去日本が出場した6大会における選外となってしまった主な選手たちについて、大会ごとに振り返っていく。
1998年フランスW杯
主な選外選手:三浦知良、北澤豪
日本代表が初出場を果たしたフランスW杯。出場するメンバー以上に、選外となった選手たちには注目が集まった。アジア予選途中からチームを率いていた岡田武史監督は、長年代表を引っ張り精神的支柱ともいえる存在であったFW三浦知良をメンバーから外すことを発表。加えて三浦と同じく代表の常連だったMF北澤豪も外れることが決定した。
確かに両選手の不振の影響もあったが、功労者への対応という側面もあってかマスコミやサッカーファンの間では議論が巻き起こる事態に。本大会の結果としても、1勝も挙げることができずに終わっていることから、日本サッカー界にとっては嬉しくも苦いW杯初出場になったと言える。
2002年日韓W杯
主な選外選手:中村俊輔
記念すべき自国開催となった2002年の日韓W杯。当時日本代表を率いたフィリップ・トルシエ監督は2000年のシドニー五輪も兼任しており、本大会には五輪で活躍した選手も数多く選出された。
そんな中選外という無念な結果を味わったのが、後に世界的にもフリーキックの名手として知られることとなるMF中村俊輔だ。直前の怪我の影響も当然考慮されてのことだろうが、選出されたMF中田英寿やMF小野伸二と並び日本を代表するゲームメーカーである中村の落選は、とりわけ大きなニュースとして騒がれた。
2006年ドイツW杯
主な選外選手:久保竜彦
「ドラゴン」の相性で親しまれ、日本人離れした身体能力を誇ったFW久保竜彦。得点数ももちろんのこと、派手なゴールシーンが多いことから記憶に残るストライカーだ。トルシエ監督時代(1998-2002)にも代表招集を受けていたが、注目されたのはドイツW杯を目指すジーコ監督時代(2002-2006)と言えるだろう。久保は欧州遠征の3試合4得点を含む合計18試合11ゴールと高い決定力を誇り、W杯本大会での活躍も大いに期待された。
しかし、慢性的な腰痛に最後まで悩まされたことでついにメンバーからは落選となっている。ドイツW杯での日本代表は、1勝もあげることができずに敗退している。特に攻撃面においては、決定機を決めきれないシーンも見られたことから、久保が選ばれていればどうなっていたのかを考えたサッカーファンは多いことだろう。
2010年南アフリカW杯
主な選外選手:香川真司
2008年には、初の平成生まれの日本代表選手となっていたMF香川真司。過去には世代別代表でも飛び級で上の世代のメンバーとして招集されるなど、若くしてその才能を買われ将来を嘱望された選手の1人であったが、2010年のW杯では登録メンバーから落選となっている。
しかし、W杯イヤーの7月にはドイツの名門ボルシア・ドルトムントへの移籍を果たし、その後は日本代表でも10番を背負うなど活躍。まぎれもなく日本でトップクラスの選手にまで成長した香川。その背景には、この落選による悔しく苦い経験があるのかもしれない。
2014年ブラジルW杯
主な選外選手:前田遼一
当時日本代表を率いたアルベルト・ザッケローニ監督(2010-2014)より、初陣から長く重宝されたFW前田遼一は、W杯本大会のメンバーには選ばれなかった。当時の代表には、欧州トップクラスのクラブに所属する選手が数多くおり、歴代最強と称されることも多かった。前田は海外経験は無いながら、高さと強さを武器に周囲も生かし自らも高い決定力を誇っていたことから、代表の中でもポジションは確立したものと思われた。
しかし、本大会前の東アジア選手権でFW柿谷曜一朗やFW大迫勇也が活躍すると、前田は序列を落とし結果落選となっている。前田のポストプレーもあり、魅力的かつ攻撃的なサッカーを展開していたザッケローニ体制の日本代表。歴代の落選選手の中でも、特に選外の意図を問いたい選手ではないだろうか。
2018年ロシアW杯
主な選外選手:浅野拓磨、井手口陽介、久保裕也
思えば2014年ブラジルW杯から2018年ロシアW杯までの4年間は、ドタバタの連続だった。ハビエル・アギーレ監督(2014-2015)が八百長疑惑を受けて解任。次いでアジア最終予選初戦での敗戦。最後にW杯本大会直前でのヴァヒド・ハリルホジッチ監督(2015-2018)の解任と、不安を抱えた中でのW杯出場だった。
直前の監督解任劇を受けてチームを託された西野朗監督(2018)は、これまでの代表経験や実績を考慮してかベテラン選手を中心に招集。結果的にはハリルホジッチ監督に見出された若手選手たちが、本大会出場の道を閉ざされる結果となっている。
特に最終予選終盤に活躍したFW浅野拓磨、MF井手口陽介、FW久保裕也らは、得点という大きなアピールができたところで突然湧いた監督解任のニュースには驚いたことだろう。一方で、短い時間でチーム作りを余儀なくされた西野監督の立場を考えれば、ある程度読むことができるベテラン選手の積極起用を決定せざるを得なかったと考えられるのも事実だ。