11月20日(日本時間21日)に開幕する「FIFA ワールドカップ カタール 2022」。それにさきがけ、国際サッカー連盟(FIFA)のデジタルプラットフォーム「FIFA+」では、これまで大会をにぎわせた選手にスポットライトをあてた番組『アイズ・オブ・ザ・ワールド』を配信中だ(全10エピソード)。第8話では、イングランド代表FWウェイン・ルーニーとポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドが2006年W杯ドイツ大会準々決勝での踏みつけ退場とウインク騒動を語った。
C.ロナウドとルーニー。06年当時、イングランドプレミアリーグの名門クラブ、マンチェスターユナイテッドで同僚だった仲。C.ロナウドは、2003年8月、10代選手の移籍金としてはイングランド史上最高額1224万ポンドで移籍してきた。翌年8月、ルーニーも移籍金2560万ポンド、契約期間6年間の契約でマンUにやってきた。
「僕はマンチェスターユナイテッドで幸せだった。でも最初は大変だった、英語が話せなかったからね。ルーニーはすごいやつ。イギリスでも人気で、国民にとても愛されていた」(C.ロナウド)。
「C.ロナウドは次のレベルを目指して順調に進化していた。一人で(対戦チームを)調理できるスーパースター」(ルーニー)。
年齢も近くキャリアやステージも似ていたふたり。お互いをリスペクトしていた。
しかし、ワールドカップは国と国の戦い。クラブチームのチームメイトもこのときばかりは仲良しとはいかなくなる。実は、大会6週間前にルーニーはW杯に出場を危ぶまれるほどのケガを負っていた。出場は強行したが、グループリーグのスウェーデン戦では途中交代にベンチでふてくされるシーンも。プレミアリーグで「悪童」と呼ばれた暴れっぷりはW杯でも健在だった。対するC.ロナウドもラウンド16戦で執拗に削られ、オレンジ軍団のオランダを撃破したものの負傷交代している。
準々決勝でふたりは激突した。事件はそのときに起こる。ボールをキープしていたルーニーが相手選手を踏みつけたとして試合が止まる。すかさず駆け寄り主審に猛抗議するC.ロナウドの姿が。
「そういう時はたいてい、この選手を蹴ろうとか、これをやろうという意図はない。だからなぜ起こったかは分からない。その前に控えになったことで、不機嫌だったからだと思う」とルーニーはメンタルが不安定だったことを理由に挙げた。
ルーニーは一発レッドで退場処分となったが、悪童の退場後にC.ロナウドが自軍ベンチに向かってウインクする映像も問題に。イギリスでは、C.ロナウドの抗議がレッドカードに影響を与えたのではないかとメディアをはじめ大騒ぎとなった。試合はPK戦の末、最後のキッカー・C.ロナウドがゴールネットを揺らし準決勝へ駒を進めたが、チームメートのふたりにとって後味の悪い一戦となった。
C.ロナウドは「僕の行動に悔いはない。自国を代表しているのだからチームを守るのは当たり前だ。間違ったことをしてはいない」とコメント。 ルーニーも「反対の立場で僕も同じことをした。彼はポルトガルチームで僕はイングランドチーム。お互い勝ちたいと思っていた」と理解を示した。
しかし、ウインク事件の余波を恐れたC.ロナウド。「マンUに戻ったらスタジアムで観客にブーイングされると思った。アレックス・ファーガソン監督に大丈夫だと励まされた。何も起こらないからね、と。イギリス人は礼儀正しい。最初のうちは噂していたが、すぐに忘れたようだった」と胸をなでおろした。