FIFAワールドカップカタール2022に臨む日本代表メンバーに選出されたMF相馬勇紀(名古屋グランパス)が会見を開き、本大会に向けて意気込みを語った。
今年7月に行われたEAFF E-1 サッカー選手権2022決勝大会で全3試合に出場し3ゴール1アシストを記録して、同大会MVPと得点王に輝いた相馬。2019年1月以来のフル代表で結果を出した同選手は、そのままカタールW杯への切符を掴んだ。相馬は「名古屋グランパスでプロキャリアをスタートさせて、このクラブを背負ってW杯に行けることを本当に嬉しく思います。自分の持ち味であるドリブルやスピード、守備の部分でも戦い、世界の相手に勝ち、日本代表を導きたいです。リーグ戦3試合で1ゴール1アシストを取って帰りたい」と本大会に向けて意気込みを示した。
また、相馬は「W杯を意識したのは、東京五輪が終わった後の1回目の代表発表の時です。当時のメンバー表をスマホの写真ホルダーに保存しています。東京五輪で戦った仲間がメンバーに入っていて、それが悔しかった。妻にも『絶対、最後に取り返す』という話をしていたにも関わらず、なかなか結果を残せずにいました。E-1のMVPと得点王を取ったあたりから、ようやく現実的に『俺はここから行くんだ』と思ってプレーできました」と胸中を明かしている。
さらに、メンバー発表時の心境についても触れた相馬は「選ばれた時は本当に嬉しく、妻と子供とテレビで見ていて、飛び上がりました。ただ今は、ここで選ばれておしまいではなく、ここがスタート。まずリーグ戦の3試合で活躍していくために、どのように取り組んでいくかを考えています」と意欲。続けて「今日までに二度、メンバー発表の夢を見て、どちらでも名前を呼ばれませんでした(笑)本当に嬉しい気持ちが大きいですが、東京五輪の時のように選ばれて結果を出せずに帰路につくのが一番悔しいので、活躍する方法を考えながら過ごしていきます」とスタートラインに立てたことへの喜びを示しつつ、闘志を燃やしている。
初めて見たW杯はドイツ大会(2006年)であることを明かした相馬。W杯への思いを口にした相馬は「小さい頃はテレビで見る、この世界で一番大きな大会と思っていました。自分が参加する立場になって、今は夢物語ではなく、勝負する舞台です。攻撃的な選手として得点やアシストを目指していくとともに、日本というチームのために、どれだけ貢献できるかが大切なので、守備のところのデュエルの部分でも自分らしさを出していきたいと思います」としつつ、「チーム内における自分の立ち位置は低いので、まずは上を喰っていくこと。そういう姿勢が、チーム力や一人一人の危機感を強め、日本というチームの成長につながる。常々言っていますが、どんどんチャレンジして自分の良さを出して、練習から戦って行きたいます」とチーム内の競争の重要性を強調した。
現在25歳の相馬は、三菱養和SCユースや早稲田大学を経て、名古屋グランパスへと入団した。自身初のW杯を前に、これまでのキャリアを振り返った相馬は「三菱養和にいた時には、体格が小さくて、すばしこい選手でした。『できないことを伸ばすことも大切だけど、まずは自分の得意なことをどれだけ成長させるかを考える』というのが三菱養和のテーマです。そこで12年間育ってもらったことで、自分のドリブルやスピード、戦う部分という武器を手に入れました。能力のパラメータが綺麗な正六角形よりも、一つが飛び抜けていて、それが相手を上回れば勝利に繋がります。本当に感謝の気持ちでいっぱいです」とサッカー選手としての原点を語り、指導者の方々へ感謝の思いを述べた。
会見終了後には、名古屋グランパスのレジェンドでもあり、日本代表としてW杯に4回出場した楢崎正剛氏からも、エールをもらった相馬。これまでに在籍したクラブの人々の思いを背に、“得意なことを成長させたことで得た武器”でカタールのピッチを駆け抜けていくだろう。