カタール・ワールドカップに臨む26人の日本代表メンバーが発表された。会見に臨み一人ひとりの名を読み上げた森保一監督の表情からうかがえるように、選出は非常に難しい作業だったに違いない。この26人の決定は、日本代表の行く末をどのように定めていくのか――。ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生が、徹底的に語り合った。

■サプライズは何だったのか

――ついに発表されたカタール行きのメンバーに、それほど大きなサプライズはなかったように思います。

大住「サプライズはあったよ。原口元気がいなかったこと。最近はクラブであまり出番がないようだけど、日本代表ではゲームを締める地味だけど、重要な役割を果たしてきた選手だった。大迫勇也も選ばれるかと思っていたんだけど、それよりも原口が外れたのが驚きだったな」

後藤「僕が一番大きいと思ったのは、大迫が入らなかったことだよね。この間のJ1第33節の川崎フロンターレとの試合で素晴らしい働きをしたので、このコンディションだったら間違いなく入ると思っていたから。それでも、入ったのは同じようにケガをしている浅野拓磨だった」

大住「ケガをして試合に出ていない選手としては、板倉滉も選ばれていたね」

後藤「先週末の試合で、ヴィッセル神戸は川崎にずっとボールを握られている状況で、何とか前にいる大迫につないで攻撃の形をつくろうとしていた。まさに日本代表がドイツやスペインと対戦する時の基準になるかなというプレーを見せてくれたので、間違いないかなと思ったんだけど。大きなサプライズというか、失望だったね。“え、あれでダメなの?”って」

大住「生で見たわけじゃないけど、大迫は調子を上げてきたという感じがしたので、ワールドカップに間に合って良かったと思っていたんだけどね。失望なのかは分からないけど、非常に前が心配だというのはあるよね。ポストプレーヤータイプは、上田綺世だけ。前田大然や浅野も1トップで使われることはあるけど、全然タイプが違うし。何というか、そういうポストプレーヤーに預けるという展開ではない試合のプランを考えているのかなという感じがするけどね」

■川崎戦で活躍していた大迫

――森保監督は最近の前線の連係に自信があった、ということでしょうか。

後藤「戦術的連係を考えるなら、選ぶべきは大迫でしょう」

大住「ワールドカップ予選よりも前の、ブンデスリーガでバリバリやっていた頃の調子じゃないとしても、頼りになる感じはするんだけどね」

後藤「さっき話した試合の神戸は、川崎がボールを持つ時間が長くて、なかなか攻めに人を避けない状況だった。でも大迫がいると、やっぱりそこでつながるんだよね。ボールをキープして時間をつくったり、1タッチでサイドにはたくすごく良い形ができていた。ワールドカップで日本はこういう状況になるだろうな、だから“ああ、大迫が戻ってきてよかったな”と思ったんだよ」

大住「日本代表なら、大迫にボールが入って、鎌田につないで、という感じだよね」

■CFは誰が務める?

――そうなると、CFは誰に任せることになるでしょうか。

後藤「大迫タイプじゃない選手だろうね。前田大然だって、すごく良いCFだよ」

大住「じゃあ、何で上田を入れたの?」

後藤「上田にもポストプレーを期待するんだろうけど、比べたら大迫の方が上だよね」

大住「ベルギーで上田が出ている試合を見ても、急成長して変貌したようには見えないね。力はあるんだけど、それをバリバリと前面に出して、相手が怖がるようなことをしているわけじゃない。ワールドカップの第2戦で、コスタリカが守備を固めてカウンターを仕掛けてくると、日本の方がボールを持つ時間が長くなる。そういう試合でも、ポストプレーヤータイプは必要だと思う。だから、そういう時に上田を使うのかなと思うけど、今の状態なら大迫でもよかったのかなと思うんだよね」