決してサプライズ招集ではない
39歳での招集も決してサプライズではないだろう。ブラジル代表監督チッチは、ワールドカップ・カタール大会のメンバーに39歳のDFダニエウ・アウベスを招集した。
アウベスが代表デビューを果たしたのは2006年のことで、実に16年もセレソンのシャツに袖を通してきたことになる。世界を代表するタレント軍団であるセレソンでこれだけ長期にわたって代表の座を守るのは簡単ではない。
2010年代は右サイドバックにインテルなどで活躍したマイコンがおり、2010年と2014年のワールドカップではポジションを激しく争っていた。あのアウベスが2番手に回ることもあり、いかに特別な2人だったかが分かる。
すでにライバルだったマイコンは現役を退いているが、アウベスはまだまだトップレベルだ。欧州5大リーグは離れたものの、アウベスは昨夏の東京五輪優勝メンバーでもある。
オーバーエイジとして参加したアウベスは全試合に出場し、準決勝のメキシコ戦と決勝のスペイン戦は120分間をフルに戦っている。夏の東京でこれだけパワフルに動ける30代後半のサイドバックも珍しいだろう。
全盛期は過ぎたかもしれないが、実力や経験値的にアウベスを上回る右サイドバックは今のブラジルに見当たらない。セビージャでのUEFA杯制覇2度、バルセロナでのチャンピオンズリーグ制覇3度、リーガ・エスパニョーラ制覇6度、ユヴェントスとパリ・サンジェルマンでのリーグ制覇、ブラジル代表ではコパ・アメリカ、昨夏の優勝で五輪のタイトルも手にした。もうアウベスに足りないのはワールドカップだけだ。
今年のセレソンは頂点を狙う力を備えているが、アウベスのタイトルコレクションにまた1つ追加されるのか。無尽蔵のスタミナを誇るベテランはカタールでも右サイドを上下動し続ける。