【試合展望】オランダが2大会ぶりの出場 イングランドのキーマンはエースFWケイン

 いよいよ開幕したカタール・ワールドカップ(W杯)本大会。前日の開幕戦を終え、本格的に各組の対戦がスタートする。大会2日目にはイングランドやオランダといった欧州の強豪が登場。欧州のリーグ戦が中断してわずか1週間ほどで開幕という準備期間の短さが、スター選手たちを擁する国の立ち上がりにどう影響するのかが注目ポイントの1つになりそうだ。

■イングランド×イラン
グループB第1戦
キックオフ:現地時間11月21日16時(日本時間21日22時)
放送・配信:NHK、ABEMA
注目選手:FWハリー・ケイン(イングランド)、DFハリー・マグワイア(イングランド)、GKアリレザ・ベイランバンド(イラン)

 イングランドを率いるギャレス・サウスゲート監督は昨年の欧州選手権でも4バックと3バックを柔軟に使い分ける一面を見せた。そのため、このW杯でも試合や状況によってシステムを変更しながら戦うことが予想される。とはいえ、最終的にゴールを奪うかどうかの局面ではエースのケインがどれだけの働きを見せられるかがカギになるだろう。チームに勢いを与える一発が欲しい。一方で、所属のマンチェスター・ユナイテッドでも厳しい評価を受けるマグワイアは、サウスゲート監督の信頼に応えられるか。

 イランは引き分けでも十分な成果と言える初戦になる。レバークーゼンでプレーするFWサルダル・アズムンやポルトのFWメフディ・タレミが攻撃陣でもスタープレーヤーだが、スタメン出場が見込まれるGKベイランバンドがいくつかのビッグセーブを見せる必要に迫られそうだ。この守護神の魅力は驚異的な肩の強さにもある。ロシアW杯アジア最終予選の韓国戦で見せた推定61メートルのスローイングはギネス世界記録に認定された。強肩GKを起点にした鋭いカウンターが発動するか。

■セネガル×オランダ
グループA第1戦
キックオフ:現地時間11月21日19時(日本時間22日1時)
放送・配信:ABEMA
注目選手:DFカリドゥ・クリバリ(セネガル)、FWコーディ・ガクポ(オランダ)

 アフリカ王者セネガルはスタープレーヤーのFWサディオ・マネが無念の負傷欠場となり、攻撃陣に不安を抱える。しかし、GKエドゥアール・メンディと世界最高峰のセンターバックの一人に数えられるクリバリのチェルシーコンビは強固な壁をゴール前に作る。中盤のMFパップ・ゲイェの運動量も見どころの一つだ。若手の多い攻撃陣からブレークするような選手が出てくるまで、失点をできるだけ少なくしていきたいだろう。

 準優勝3回のオランダは前回のロシアW杯でまさかの予選敗退。2大会ぶりの出場に、前回出場のブラジルW杯で3位に導いたルイス・ファンハール監督が昨年から指揮している。メンフィス・デパイが所属のバルセロナでは太ももの負傷で9月半ばのゲームを最後に出場していないだけに、今大会の中心は今季のオランダ1部で9得点12アシストを記録するPSVのガクポになるだろう。189センチの長身ながら機動力があり万能型の23歳は、大舞台でのブレーク候補だ。

■アメリカ×ウェールズ
グループB第1戦
キックオフ:現地時間11月21日22時(日本時間22日4時)
放送・配信:NHK、ABEMA
注目選手:FWクリスチャン・プリシッチ(アメリカ)、FWガレス・ベイル(ウェールズ)

 近年、才能あふれる選手たちを次々に欧州のトップリーグに輩出しているアメリカのなかで、最大のスターがプリシッチだろう。しかし、今季はイングランド・プレミアリーグの名門チェルシーで出場時間を減らし、さらには1ゴールのみと絶好調とは言えない。この代表チームに合流しての大舞台で覚醒するかどうかがチームにとって大きなカギになりそうだ。イタリアの名門ユベントスでプレーするMFウェストン・マッケニーもチームで負傷離脱したまま代表に合流。大会中に調子を上げられるかがポイントだ。

 ウェールズもベテランのベイルがアメリカのメジャーリーグサッカー(MLS)へと移籍して、メンタル的な安定は手に入れているが途中出場がほとんどであり不安要素が大きい。しかし、レアル・マドリード時代のUEFAチャンピオンズリーグ決勝で芸術的なオーバーヘッドを決めたように、大舞台に強い「何か」を感じさせる。中盤もベテランのMFアーロン・ラムジーが健在。両者がW杯に臨むチームに落ち着きを与えられれば勝機はありそうだ。

【グループ展望】グループAはカタール戦がカギ グループBの中心はイングランド

■グループA
カタール/エクアドル/セネガル/オランダ

 開催国カタールは不気味な存在だが、現実的には勝ち点3を計算する試合になるだろう。そのため、基本的には3チームで2つのイスを争う構図になりそうだ。すでにエクアドルが初戦を勝利で飾っているだけに、オランダとセネガルは敗戦スタートを避けたいところ。引き分けで入れば混戦グループになる可能性が高く、場合によってはカタールを相手に稼いだ得失点差がものを言うかもしれない。

■グループB
イングランド/イラン/アメリカ/ウェールズ

 昨年の欧州選手権で準優勝し、今大会も優勝候補に挙げられるイングランドが中心だろう。しかし、アメリカとイランは欧州の名門チームでスタメンを張るプレーヤーもいて、ただのアウトサイダーではない。ウェールズを交えた3チームが2位を争う展開が基本的になりそうだが、中東開催という点で環境への慣れがあるイランは過去の出場大会の中でも最も実力を発揮できる可能性がありそうだ。イングランドとウェールズの英国対決に加え、アメリカとイランの試合は政治的な理由もあり多くの注目を集めるだろう。(FOOTBALL ZONE編集部)