昨夏のEUROでは驚愕のトラップミスもあったが……

4年前のロシア大会より、スペイン代表はダビド・デ・ヘアに代わる守護神探しに動いてきた。

ロシア大会の時点ではデ・ヘアが圧倒的な存在だったのだが、ポルトガル戦でクリスティアーノ・ロナウドのミドルシュートを後逸してしまうなど、この大会からデ・ヘアの評価は怪しくなり始めた。それは所属するマンチェスター・ユナイテッドでも同じで、今回のカタール大会ではスペイン代表メンバーから漏れてしまった。

代表監督ルイス・エンリケが招集したのはアスレティック・ビルバオのウナイ・シモン、ブライトンのロベルト・サンチェス、ブレントフォードのダビド・ラヤの3名だ。

いずれもビッグクラブで活躍しているわけではなく、サンチェスとラヤはまだ代表戦を2試合しかプレイしていない。デ・ヘアに比べると経験値は明らかに劣る。

昨夏のEURO2020では全試合先発し、欧州予選やネーションズリーグでも主力を務めてきたシモンが守護神候補ではあるが、そのシモンも2020年に代表デビューしたばかり。シモンも当初は代表でプレイする姿などまったくイメージできていなかったと振り返っている。

「代表招集なんて考えていなかったよ。それがある日突然電話があって、その2か月後には代表デビュー。その次の夏にはEUROを戦って、次はワールドカップだ。人生とサッカーはすごい速度で動いていくものだ。これらの瞬間を楽しまないとね」 

昨夏のEUROではクロアチア戦でMFペドリからのバックパスを盛大にトラップミスしてしまい、40mのオウンゴールを許す大失態もあった。辛い時間もあっただろうが、それでもシモンはエンリケの信頼を勝ち取り続けてきた。昨夏のEUROで学んだことは今回のワールドカップで活かされるだろう。

グループ最終戦で対戦する日本代表としてもスペインのGKの仕上がりは気になるところだが、シモンはワールドクラスのパフォーマンスを見せるのか。EUROを経験したことで落ち着きも出てきているはずだ。