カタール・ワールドカップ(W杯)に出場するヨーロッパの7カ国が、あらゆる差別反対を訴える意図を持つ『OneLove』のレインボーカラーの腕章着用を断念した。『ロイター通信』が伝えている。

20日に開幕を迎えたカタールW杯だが、カタールの外国人労働者の扱い、制限的な社会制度、LGBTQIA+の権利に関する人権問題が大きな懸念となっている。

そういった中、ヨーロッパでは人権問題に対する抗議目的で『OneLove』の腕章をキャプテンたちに着用させようとする動きが出ていた。

当初、イングランド、ウェールズ、ベルギー、デンマーク、ドイツ、オランダの各国協会は、国際サッカー連盟(FIFA)からの罰金を受け入れてでも強行する姿勢を見せていた。だが、FIFAが腕章を着用した場合、試合前の段階でキャプテンにイエローカードを掲示するという通達を行ったことで、最終的に計画を断念することになった。

前述の7カ国のサッカー協会は以下の共同声明を発表している。

「FIFAはキャプテンがフィールドで(OneLoveの)アームバンドを着用した場合、スポーツ制裁を課すことを非常に明確にしています」

「各国連盟として、私たちはプレーヤーたちを警告を含むスポーツ制裁に直面させるような立場に置くことはできず、キャプテンにFIFAワールドカップの試合でアームバンドを着用しないように依頼しました」

「私たちは通常、キットの規則違反に適用される罰金を支払う用意があり、アームバンドを着用することを強く約束しました。しかし、プレーヤーが警告を受けたり、フィールドを離れさせたりするような状況に置くことはできません」

「私たちは前例のないFIFAの決定に非常に不満を感じています。9月にFIFAに書簡を送り、フットボールへのインクルージョンを積極的にサポートするために『OneLove』アームバンドを着用したいという希望を伝えましたが、何の返答もありませんでした。彼らはインクルージョンの強力な支持者であり、他の方法で支持を示すでしょう」

なお、FIFAは今大会の開幕前に、大会の各ラウンドで7つの異なるアームバンドを用意し、それぞれにさまざまなソーシャルメッセージのスローガンを用意すると発表。しかし、7カ国が21日に『OneLove』のアームバンドを着用しないと発表した直後、FIFAは以前に準々決勝の段階で着用するように設定されていた『No Discrimination』のアームバンドをトーナメント全体で利用できるようにすることを発表した。