イングランド×イラン戦では前半が14分、後半10分の表示
開幕から2日間、4試合が行われたカタール・ワールドカップ(W杯)では、アディショナルタイムの長さが話題になっている。すでに10分台のアディショナルタイムも出現しているが、国際サッカー連盟(FIFA)の審判委員長を務めるピエルルイジ・コッリーナ氏はプレータイムの確保という観点で厳密な時間設定を行うことを明言していた。
11月21日のゲームでは、イングランド代表とイラン代表が対戦した試合の前半がアディショナルタイム14分の表示、後半が10分の表示で合計すると24分にもなる事態になった。前半はイランのGKアリレザ・ベイランバンドが試合中に負傷して治療に時間を要したのが主な理由と考えられるが、後半は試合終了間際にビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入したこともあり、イランがラストプレーで決めたゴールは後半アディショナルタイム13分という記録だった。
コッリーナ氏は大会に先駆け、米スポーツ専門局「ESPN」のインタビューで「ロシアW杯では、試合中に失われた時間をより正確に補正しようとしたため、6分、7分、あるいは8分もアディショナルタイムが生まれた。考えてみてほしい。どちらかのハーフだけで3ゴールした場合、ゴールセレブレーションとリスタートだけでも合計4、5分は失われるだろう」とコメントしている。
そして、アディショナルタイムの管理については、試合中に失われた時間を加算する時間を計算するのは第4審判の仕事であり、VARチームのメンバーの1人がビデオレビューで失われた時間を記録するという。コッリーナ氏は「判断するフリをしていた過去に比べればいいシステムだ」と話している。
イングランドとイランの後半は、両チーム合わせて5ゴールが生まれた。W杯という大舞台でゴールを決めたことに喜びを爆発させる時間、疲労が溜まった選手を交代させるのにかかった時間を鑑みれば、アディショナルタイム10分の表示はむしろ実態に近いのかもしれない。
それぞれのハーフが45分間というのがサッカーにおけるルールだが、多くのドラマはその時間を過ぎてから生まれてきた。今大会では、アディショナルタイムこそ本当の勝負が始まる時間になっていくのかもしれない。(FOOTBALL ZONE編集部)