格下が勝つには球際で泥臭く戦うのが絶対条件
ワールドカップ開幕戦でエクアドル代表に0-2で敗れた開催国カタール代表、グループB初戦でイングランド代表に2-6で敗れたイラン代表は、戦術・技術の両面で圧倒されてしまった。南米や欧州の選手はサッカーをよく理解しており、サッカーIQにも大きな差がある。パス、ドリブル、ポジショニングのセンスなども向こうが圧倒的に上だ。
だが、それ以上に目立つのは球際の弱さだろう。カタールとイランの選手も決して体が小さいわけではないが、球際の攻防で競り負けてしまうシーンが目についた。いわゆるデュエルと呼ばれる部分で負け続ければ、ゲームを支配するのは難しい。
印象的だったのはグループBもう1つのゲームだったウェールズ代表VSアメリカ代表の一戦だ。英『Squawka』が絶賛するのは後半から投入されたウェールズ代表FWキーファー・ムーアで、ムーアは196cmのサイズを活かして体を張り続けていた。
それに呼応してウェールズの選手たちもどんどん縦へ仕掛けるようになり、1つのプレイに対する執着心は両チームともに凄まじいものがあった。終盤は足を攣る選手が続出したが、それだけ激しいスプリントを繰り返していた証でもある。
ウェールズの戦い方はスマートとは呼べないかもしれないが、ワールドカップのような大舞台で中堅チームが勝つには泥臭く戦うしかない。その覚悟と激しさがカタールとイランのアジア勢2チームには欠けていた。
日本でもヴァイッド・ハリルホジッチ元監督の頃よりデュエルのワードが浸透し、Jリーグでも海外でも日本人選手たちが球際の強さを意識してきたのは間違いない。23日に迎える初戦のドイツ戦は相手が明らかな格上で、やはり球際の攻防で負けているようでは厳しい。球際の重要性を認識させられるワールドカップのスタートとなっており、テクニックや戦術の前に戦うハートがなければ金星を狙うのは難しいだろう。