カタール・ワールドカップに参戦しているベルギー代表は、広報を通じて、現地時間11月21日に「アウェーユニホームの着用を国際サッカー連盟(FIFA)が認めなかった」と明らかにした。欧州スポーツチャンネル『EUROSPORTS』が報じている。

 同ユニホームは、白をベースに虹色があしらわれ、同性愛者など性的少数者への差別反対の象徴である虹色を彷彿させるデザインとなっており、襟裏には「ONE LOVE」という文字が入っている。

 当初、ベルギーを含むイングランドやドイツなど欧州7か国は、主将がこのマークが入った腕章を身に着ける予定だった。しかし、国際サッカー連盟(FIFA)は、政治的なメッセージを禁止するという規定や、カタール国内ではこうした活動をした該当者を書類送検にするという事情などを理由に、着用した場合は即刻警告処分にするといった“通達”がなされていた。これを受けた欧州各国は試合での「One Love」の着用を見送ったという事情がある。

 しかし、腕章のみならずユニホームにも“物言い”がついた形だ。当初、ベルギー代表のアウェーユニは使用されない見込みだったが、現地メディアによればステッカーを貼って「LOVE」の文字を隠し、着用することになるようだ。
【画像】FIFAが「認められない」と却下したベルギーのアウェーユニ
 ベルギーサッカー協会のペーター・ボサアート会長は現地紙『Nieuwsblad』に「愛という文字を消せだそうだ。FIFAは我々に選択の余地を与えないようだ。残りのデザインは変わらない。LOVEという文字を消せと、それだけだ」と嘆いている。

「腕章に対する罰則も不釣り合いなので、エデン(・アザール)はその腕章を付けてプレーすることはない。これ以上どうすることもできない。試合前にエデンがイエローカードをもらうリスクは冒せない。

 我々は十分な罰金を支払う用意があったんだ。FIFAとの話し合いのなかでもそう示した。だが、我々の言うことを彼らは聞こうともしなかった。話し合いは不可能だった」

 そして、「あの腕章を“政治的なメッセージ”とするのはおかしい」と述べ、FIFAの体制を批判している。

「あの腕章は多様性、包括性を求めるシンボルだ。だいたい、我々は数か月前からFIFAに働きかけ、判断を待っていたんだ。それなのに、ここ数日でいきなりイエローカードを出すと言い出した。まったく理解に苦しむ」

 ベルギーの初戦であるカナダ戦は、日本時間24日の4時にキックオフされる。レッドデビルズはプレーで彼らの信念を示すことになりそうだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部