カタール・ワールドカップ(W杯)のグループD第1節、フランス代表vsオーストラリア代表が22日に行われ、フランスが4-1で逆転勝利した。

史上3カ国目の大会連覇を狙うと共に、2010年大会以降続いている前大会王者のグループリーグ敗退の連鎖を断ち切ることを目指すフランス。大会前に多くの離脱者を出し、満身創痍のデシャン率いるチームは、この開幕戦で[4-2-3-1]の布陣を採用。

GKにキャプテンのロリス、4バックは右からパヴァール、コナテ、ウパメカノ、リュカを起用。中盤はチュアメニ、ラビオの2セントラルに、2列目は右からデンベレ、グリーズマン、ムバッペ。最前線に同国のW杯歴代最年長出場(36歳と53日)記録を更新したジルーが入った。

一方、タフなプレーオフ2試合を制して5大会連続本大会行きを決めたオーストラリアは、2006年大会以来のグループリーグ突破を狙う。ディフェンディングチャンピオンとの初陣では[4-1-4-1]の布陣を採用。ファジアーノ岡山のミッチェル・デュークが守護神ライアン、モーイらと共にスタメン入り。アルビレックス新潟のトーマス・デンはフルスティッチやメイビルと共にベンチスタートとなった。

優勝候補アルゼンチンが敗れたサウジアラビア戦同様に、この試合も波乱の幕開けとなった。

立ち上がりこそフランスが左サイドのムバッペの個人技で押し込む入りを見せたが、オーストラリアがファーストチャンスをモノにする。

9分、ディフェンスラインからのロングフィードを相手陣内右サイドで受けたレッキーがDFリュカを縦への仕掛けで抜き去ってクロスを供給。これをファーサイドでドフリーのグッドウィンが抑えの利いた左足ダイレクトシュートでゴール右隅へ決めた。

開始早々にビハインドを背負ったフランスは、さらに失点場面でヒザを痛めたリュカがプレー続行不可能となり、実弟テオ・エルナンデスのスクランブル投入を余儀なくされる。

早い時間帯に追いつきたいデシャンのチームは、ここから攻守にギアを上げて前に出る。引き続きムバッペ、デンベレと両ウイングの個の打開力で局面の打開を図るが、守備時にウイングが下がって6バックに近い形で守るオーストラリアの守備に苦戦。また、急造の若いディフェンスラインがバタつく場面が散見され、22分には不用意なロストからデュークに際どいミドルシュートを打たれる。

それでも、勝負強さが身上の前大会王者はファーストチャンスをゴールに結びつける。27分、右CKの二次攻撃からボックス手前左でこぼれ球を回収したテオが正確なクロスを供給。これをゴール前にタイミング良く飛び出したラビオが頭で合わせた。

早い時間帯に追いついたことで、完全に落ち着きを取り戻したレ・ブルーはここから畳みかけると、32分には相手GKからのビルドアップに強い制限をかけて左サイドのラビオがDFアトキンソンのコントロールミスを誘発しショートカウンターを発動。ムバッペのヒールパスを受けてボックス内に侵入したラビオが丁寧に折り返したボールを、ゴール前のジルーが右足で合わせて代表通算50点目となるメモリアルゴールを記録した。

試合を引っくり返したフランスは、明らかに動揺が見受けられるオーストラリアを相手に攻撃の手を緩めない。サイドからの仕掛けに加え、トップ下に入るグリーズマンが良い形で周囲と絡み始めると、ここから再三の決定機を創出。だが、ジルーやムバッペがボックス内での決定機をモノにできない。

すると、前半終了間際にはオーストラリアに2度目のビッグチャンス。ボックス左に抜け出したマクグリーが浮き球で上げたクロスをファーのアーバインが頭で合わせる。味方とクロスする形となり、GKロリスの反応の逆を突いたが、このシュートは惜しくも左ポストを叩いた。

冷や汗をかく形で前半を終えたフランスだが、後半は立ち上がりから主導権を握って優勢に試合を進める。51分にはジルーが得意のアクロバティックなボレーシュートで3点目に迫った。

一方、後半は守勢が続くオーストラリアは56分、デュークを下げてカミングスを最初の交代カードとして切る。

前半同様にチャンスを作りながらもアタッカー陣が決め切れず、やや重苦しい空気が漂い始めるレ・ブルーだが、今大会の主役候補が決定的な仕事を果たす。

68分、ボックス右で仕掛けたデンベレが上げたクロスに中央で反応したムバッペが頭で合わせると、左ポストの内側を叩いたボールがゴールネットを揺らした。

若きエースに今大会初ゴールが生まれたフランスは、さらに直後の71分にはそのムバッペがボックス左に持ち込んで折り返したボールをジルーが得意のヘディングで合わせて4点目を奪取。さらに、ジルーにとってこの試合2点目はティエリ・アンリに並ぶ同国歴代最多51ゴール目となった。

この連続ゴールで勝負を決めたフランスは、デンベレとチュアメニに代えてコマンとフォファナ、試合終盤にはジルーとパヴァールを下げてテュラムとクンデを投入。試合をクローズにかかる。

オーストラリアの粘りの守備に遭い、5点目こそ奪うことはできなかったものの、4-1のまま試合を終わらせた。

この結果、前半序盤こそ苦しんだものの、終わってみれば地力の差を見せつけた王者フランスが連覇を目指す今大会を白星でスタートした。

なお、フランスは26日にデンマークと、初勝利を目指すオーストラリアはチュニジアと対戦する。

フランス代表 4-1 オーストラリア代表
【フランス】
ラビオ(前27)
ジルー(前32)
ムバッペ(後23)
ジルー(後26)
【オーストラリア】
グッドウィン(前9)