【グループ展望】4日目に日本が初戦へ、前回大会の16強で敗れたベルギーはカナダと対戦
カタール・ワールドカップ(W杯)の大会4日目はついに日本代表が登場し、W杯で4回優勝の強豪ドイツ代表と初戦を迎える。また、同組のスペイン代表とコスタリカ代表のゲームも注目されるだろう。F組では前回ロシアW杯で準優勝のクロアチア代表が登場してモロッコ代表と対戦。その前回大会の16強で日本が敗れた強豪ベルギー代表はカナダ代表と初戦を戦うが、このゲームでは第四審判を日本の山下良美氏が務める。
■モロッコ×クロアチア
グループF第1戦
キックオフ:現地時間11月23日13時(日本時間23日19時)
放送・配信:フジテレビ系、ABEMA
注目選手:DFアクラフ・ハキミ(モロッコ)、MFルカ・モドリッチ(クロアチア)
モロッコは元日本代表監督のバヒド・ハリルホジッチ氏が指揮して本大会の出場権を得たものの、協会の上層部と対立して8月に解任されたために新監督で臨む。最大のスターはDFアクラフ・ハキミだ。レアル・マドリード、ボルシア・ドルトムント、インテル、パリ・サンジェルマンと各国のビッグクラブを渡り歩いている24歳は、モロッコが躍進を果たそうと思えばハキミの大活躍が必要になるだろう。
前回大会で準優勝したクロアチアは、大会MVPも獲得したMFルカ・モドリッチが37歳になった今も健在。全試合にフル出場するような起用法になるかは分からないが、クロアチアの象徴としてピッチ上に君臨するだろう。他にもFWイバン・ペリシッチらの実力者も擁するが、前回の準優勝と98年フランス大会の3位を除くと全てグループステージ敗退という上下の差が激しい伝統を持つだけに、そのムラが悪い方向に出ないようなマネージメントが必要になると言えそうだ。
■ドイツ×日本
グループE第1戦
キックオフ:現地時間11月23日16時(日本時間23日22時)
放送・配信:NHK、ABEMA
注目選手:FWカイ・ハフェルツ、FWニクラス・フュルクルク(ドイツ)、MF遠藤航、MF鎌田大地(日本)
日本代表から見れば強大な壁に見えるドイツだが、直前の調整試合となったオマーン代表との国際親善試合ではラスト10分でようやく1点を取っての勝利。攻撃の機能性に難があるという厳しい評価も受けている。その攻撃陣の中ではゼロトップのようなプレーもするFWカイ・ハフェルツが中心になるか。ストライカー色の強い選手では、今季のブンデスリーガで二桁ゴールしているFWニクラス・フュルクルクが警戒すべき存在になりそうだ。
日本はこの初戦に全てを出し尽くすようなつもりで、どんなに悪くても勝ち点1を取らなくてはならないだろう。スペイン代表とドイツの2強グループが予想される中で一角崩しを狙うなら、敗戦スタートは厳しい。どのポジションの選手も非常に重要だが、その中では敵将ハンジ・フリック監督が試合前日会見で名前を挙げるなど、ドイツでプレーする中で高い評価を手にしているMF遠藤航とMF鎌田大地に注目したい。7人がブンデスリーガ1部でプレーしていることからも、気後れは少ないだろう。
■スペイン×コスタリカ
グループE第1戦
キックオフ:現地時間11月23日19時(日本時間24日1時)
放送・配信:ABEMA
注目選手:FWフェラン・トーレス(スペイン)、GKケイラー・ナバス(コスタリカ)
スペインはカタール入りしてから宿泊施設の冷房が強すぎて複数選手が風邪をひいたと報道されるなど、ドタバタとした準備段階になっている。それらを除いても、課題は得点力とされる面がある。ルイス・エンリケ監督が率いる代表チームはボール保持率が高いものの、世界的なストライカーと呼ばれる選手はいない。風邪の報道で名前の挙がったFWアルバロ・モラタがその中でもエース格だが、FWフェラン・トーレスは予選でチーム最多の4ゴールを挙げている。
コスタリカ代表はキャプテンであり守護神のGKケイラー・ナバスが、今季は所属のパリ・サンジェルマンで全く出場機会を得られていない。実戦感覚がない状態で大舞台に臨む不安は大きいが、彼を外す決断は難しいだろう。どちらかと言えばアクションが大きく、読みで飛ぶような場面もみられるGKだけにゲーム勘の欠如は不安要素だ。スペインの攻撃を守り切るためには、ナバスの驚くようなファインセーブが何本かは必要になるだろう。
■ベルギー×カナダ
グループF第1戦
キックオフ:現地時間11月23日22時(日本時間24日4時)
放送・配信:ABEMA
注目選手:MFケビン・デブルイネ(ベルギー)、GKミラン・ボージャン(カナダ)
前回大会で3位に躍進したベルギーは今大会でも優勝候補に挙げられるクオリティーがある。各ポジションに欧州のビッグクラブで存在感を発揮する選手が並ぶスター軍団だが、彼らを中盤で連結するのがMFケビン・デブルイネだろう。今や世界最高のMFに挙げる声も小さくないほどの彼が見せるプレーを楽しみにするサッカーファンは少なくないはずだ。一方でエースFWロメル・ルカクは負傷により初戦欠場が決定的。FWミシー・バチュアイが筆頭になる代役が穴を埋められるか。
大会前、最後の国際親善試合で日本に勝利したことも記憶に新しいカナダだが、現実的にはベルギーとの初戦は勝ち点1を取れるかどうかという力関係になるだろう。3バックも4バックも使いこなせるチームだが、最終的にはセルビアの名門レッドスターでプレーするGKミラン・ボージャンがゴールを守り切れるか。ドイツの絶対王者バイエルン・ミュンヘンでプレーするスター、DFアルフォンソ・デイビスは負傷により初戦を欠場する可能性が高いとされるだけに、何とか失点せずにゲームを進めたい。
【グループ展望】グループE、グループFともに欧州2強を崩せるかが注目ポイント
■グループE
ドイツ/日本/コスタリカ/スペイン
世界的に見ればドイツとスペインのW杯優勝経験国が2強を形成するグループという前評判が妥当だろう。しかし、日本とコスタリカも決勝トーナメント進出の経験を持つだけに、アウトサイダーとして強豪相手に結果を出した経験を生かせるかがポイントだろう。力の劣る2チームが一角崩しを達成しようと思えば、初戦での敗戦は許されない。ここで引き分け以上の結果を残してから初めて突破に向けた展望を切り開くことができるだろう。
■グループF
ベルギー/カナダ/モロッコ/クロアチア
こちらも欧州勢が2強を形成するという前評判が妥当なところだ。カナダは北中米カリブ海予選をトップ通過したことが話題になっているが、1986年メキシコW杯以来の出場だけに経験値は圧倒的に不足している。初戦の立ち上がりで強豪ベルギーを相手に力の差を見せられてしまうと、立ち直れずにズルズルといってしまうことも危惧される。クロアチアは伝統的に試合結果も試合中のプレーもムラが激しい。その意味では、波乱があるとすればクロアチアになりそうな気配を持っている。(FOOTBALL ZONE編集部)