イングランド代表戦の国歌斉唱時、イラン代表選手らが沈黙の抗議

 11月21日のカタール・ワールドカップ(W杯)グループリーグ初戦でイングランド代表に2-6と敗れたイラン代表。試合前の国家斉唱時、イランの選手が国歌斉唱を拒否し、さらにファンから大ブーイングが鳴り響いた様子に、海外メディアから「世界で最も勇敢なチーム」の声が上がっている。

 試合前に異様な光景が広がった。国歌斉唱時、イランの先発11人は沈黙を貫き、スタンドからはファンのブーイングが鳴り響く。これは、イラン国内で起きた抗議デモを支持する行為だったようだ。

 イランでは、マフサ・アミニさんが首都テヘランでヒジャブ(頭髪を覆うスカーフ)を適切に着用していないとの理由から治安当局に拘束され、その3日後に死亡。それを機に国内で女性を中心とした抗議運動が起き、取り締まりが厳しくなっている。選手たちが国歌斉唱を拒否したのは抗議デモを支持するためと見られており、ファンから飛んだブーイングも同様の理由だった模様だ。

 ロンドンに拠点を置いて中東のニュースを発信するメディア「ミドル・イースト・アイ」の公式ツイッターは「イングランド対イラン戦を観戦するためにロンドンのヘンドンに集まったイランのファンたちは、国歌斉唱時にブーイングをし、試合を見ながら『マフサ・アミニ』と口にするのが目撃された」と記し、その様子を映像付きで紹介している。

 またベラルーシメディア「ネフタ」の公式ツイッターは、「イラン代表チームは、デモ犠牲者への結束を示すため、カタールW杯で国歌を歌うのを拒否。ファンはスタンドからイラン国歌にブーイングを浴びせた」と報じた。韓国紙「朝鮮日報」は「国歌斉唱を拒否したイラン代表チーム…世界で最も勇敢なチーム」と紹介しており、その光景が世界的に注目を浴びている。(FOOTBALL ZONE編集部)