【カメラマンの目】友人との再会で時代の流れを実感、プラティニやジダンが活躍した当時を回顧

 試合前、プレスセンターで作業をしていると帽子を目深に被り、金髪に長髪の外人が笑顔で手を振っていた。「誰だろう?」と思い、よく見てみると友人のブラジル人だった。15年ぶりほどの再会である。

 カタール・ワールドカップ(W杯)大会3日目とはいえ、連日の撮影で早くも疲労を感じていたが、懐かしい友人との邂逅(かいこう)に後ろ向きな思いは吹き飛んだ。15年前当時からブラジルのサッカー雑誌「プラカール」で働いてが、いまも続いており部長に昇進したかと聞くと「まだ」だそうでひと通り近況を話し合い笑いあった。それにしても15年前、その友人は髪に短髪だったのに変われば変わるものである。

 ピッチに目を向けると1980年代のフランスは、ナポレオンの異名をとったミシェル・プラティニを中心に華麗なパスサッカーを展開し、そのスタイルが弾けるシャンパンに例えられその名もズバリに“シャンパンサッカー”と言われていた。

 時代は移り変わり現在のフランスはFWキリアン・ムバッペを最大の武器にスピードサッカーで世界に挑戦している。このプラティニ、ジネディーヌ・ジダンと受け継がれた背番号10を背負う若きフランスの先導者は「来る」と分かっていてもテクニックとフィジカルを融合させたドリブルで相手守備網を突破する。まさに迫力満点だった。

 戦術は完成をみたときから攻略の対象になる。普遍的なスタイルなどなく、言ってしまえばサッカーの戦い方に正解はない。続々とスター選手も登場してきているW杯・カタール大会。チームを構成するすべての選手たちが自らのスタイルを信じて戦い、頂点へと辿り着くのはどの国になるのだろうか。(FOOTBALL ZONE特派・徳原隆元 / Takamoto Tokuhara)