[カタールW杯・グループステージ第1戦]日本代表 2-1 ドイツ代表/11月23日/ハリファ国際スタジアム
 
 日本代表がドイツ代表を破った一戦は、日本で「歴史的勝利」や「ドーハの軌跡」と呼ばれていると聞く。現地カタールで取材していると、その重みや意義、難易度の高さをより鮮明に感じた。
 
 75分に堂安律が同点ゴールを挙げて以降は、中立のファンや記者がどんどん日本に肩入れするようなる。そして83分に浅野拓磨が決勝点を叩き込むと、階段を挟んで隣に座っていた2人の外国人記者と目が合った。僕が「オーマイゴッド!」と言うと、彼らは立ち上がって「ワンダフル!エキサイティッド!」と叫びながらハイタッチをしてくれた。
 
 試合後も各国の記者が、次々に「おめでとう!」と声をかけてくれた。喫煙所で出会ったソマリア人だという警備員は、「勝っちまったな!すごいぞ!」とご満悦で、さらにスマフォでスペイン対コスタリカのライブ中継を見せてきた。「ほら、いまスペインが4―0だ(最終的には7―0)。日本は次どっちだ? コスタリカ? じゃあ楽勝だろ!」とある意味でこちらよりも興奮していた。
 
 さらにスタジアムのセキュリティー係、メトロのスタッフ、そしてホテルの従業員たちもみんなが「コングラチュレーション!」、「ウイイイイーン!」と声をかけてくれたし、仲良しのイタリア人カメラマンも「アメージング!ファンタスティック!」とSNSでメッセージを送ってくれた。
 
 同じく現地取材していたロシアW杯の初戦も、日本は前評判を覆してコロンビアを撃破。その時も各国の人たちが声をかけてくれたものだが、感覚値としては4年前の3倍はお祝いの言葉をもらっている。ジャイアントキリングはどこの国の人にとっても痛快なようだ。
 
 逆に言えば、日本がドイツを破る可能性はそれだけ低いと見積られていたことの証。実際、試合後に堂安律は「ちょっとヨーロッパがアジアを舐めているところがあるので、ふざけるなって思ってました。フライブルクでも『ドイツ余裕だね』とか色々と言われたので、見返してやろうって」、浅野は「日本がドイツに勝てると信じていた人がどれだけいたか。すごく少ないと思う」と語っていた。
 
 現地ドーハで感じたのは、前評判と結果の大きすぎる差。だからこそ世界中の人が興奮し、お祝いの言葉をかけてくれたのだ。森保ジャパンはこのままカタールW杯のサプライズチームになれるか。
 
取材・文●白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)
 
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