ドイツ戦で名手ノイアーの頭上を破る決勝ゴール

 日本代表FW浅野拓磨は、現地時間11月23日のカタール・ワールドカップ(W杯)初戦ドイツ戦で決勝点を挙げ、2-1の勝利に貢献した。世界を驚かせる活躍を、英メディアは「ベンゲルの慧眼が正しかった」と報じている。

 日本は前半にPKで先制を許すも、後半から3バックに変更して攻撃的な選手を次々と投入。森保一監督によるこの采配が的中し、後半30分にMF堂安律、同38分に浅野がゴールを奪い、逆転で勝利した。

 浅野はDF板倉滉からのロングボールに抜け出し、トラップでDFニコ・シュロッターベックの先手を取ると、最後は名手GKマヌエル・ノイアーの頭上を破る豪快なシュートを決めた。この活躍に注目したのが、英紙「デイリー・テレグラフ」だ。

 同紙は「タクマ・アサノがついにアーセン・ベンゲルの預言を証明――アーセナルにとっては6年遅かった」との見出しで浅野について特集。浅野は2016年にサンフレッチェ広島からイングランドの名門アーセナルに移籍したものの、労働許可の関係もあってプレーできず、期限付き移籍を繰り返した後にセルビア1部パルチザンに移籍している。

 この経緯を踏まえ、記事では「日本のヒーローは2016年にエミレーツにやってきたが、遠回りの末に『アーセンはお見通し』を証明した」と紹介。当時のアーセン・ベンゲル監督による「タクマは才能ある若手ストライカーであり、将来性豊かな選手だ」という言葉とともに、次のように綴った。

「アーセナルにとっては不運なことに、浅野の成長は計画どおりにはいかなかった。放出の際は短いリリースが出ただけで、注目されることもなかった。『浅野って誰だ?』と。しかし、ドーハでの衝撃的な勝利を経て、今は世界中が彼のことを知っている。DFを抑え込み、無力なノイアーを破ってフィニッシュした」

「28歳となった浅野はもはやワンダーキッドではないが、彼の才能が否定されたという意味でもない。ドイツ戦のゴールは才能の証明であり、ベンゲルの慧眼は正しかったことも示している」

 名将ベンゲルによって見出された浅野が、6年越しに世界に見せつけた決勝ゴール。世界に与えた衝撃は計り知れない。(FOOTBALL ZONE編集部)