カタール・ワールドカップのグループステージ初戦で、日本は優勝候補のドイツに劇的な逆転勝利を収めた。次の相手は、コスタリカ。連勝がかかる一戦に、森保ジャパンはどんなスタメンで臨むのか。現地取材する河治良幸氏に見解をうかがった。

――◆――◆――

 ドイツ戦の勝利から余勢を駆って、あまりターンオーバーをせずに仕留めにいくほうが良いという見方があるかもしれない。しかし、筆者は最初からコスタリカ戦のベストメンバーが、そのままドイツ戦のメンバーとは考えていない。中3日ということも考えて、過半数のメンバーを入れ替えてくるのではないか。

 システムは、ボールを持つこと、サイドの守備が多くなることを想定して4-1-4-1も考えていたが、現在のバランスを見て、4-2-3-1をベースに、流れの中で可変させていくプランか。

 森保一監督は26人に完全な序列は付けていない。基本的に信頼を置いている主力はいるが、ドイツ戦のスタメンが必ずしも大会を通してのベストメンバーではなく、コスタリカ戦、スペイン戦を想定して26人の構成を見極めたはず。

 もちろん、その先に関しては大会でのパフォーマンスやどの国が相手になるかで変わりうるものだが、グループステージについては勝利が必要か、引き分け以上でOKかという状況の変化はあっても、システムや戦術プラン、選手の組み合わせなど想定をしたなかで、コンディションを見極めて決めるというスタンスではないか。

 コスタリカ戦は勝点3がノルマに近い目標になるなかで、スペインに0-7の大敗を喫した相手がどう出てくるか読みにくいことも含めて難しいが、ボールを握りながら攻勢をかけていく展開にはなるはず。
 
 後ろからのビルドアップが生命線だ。前々日の練習に酒井宏樹と冨安健洋が不参加だったが、そうした事情が無くても筆者は山根視来と谷口彰悟の出番だと想定していた。2人とも単に主力メンバーの控えではなく、コスタリカ戦のファーストチョイスと考えるからこそ、26人のメンバーにも入ったのではないか。

 確かに守備のデュエルや国際経験は欧州組の選手たちのほうが頼もしい。しかし、コスタリカのような徹底した堅守速攻の相手に対して、しっかりとボールを握りながら前に押し出し、守備の隙間を突いていく試合展開で、川崎で継続してその役割を担う2人ほどの適役はいない。

 9月のエクアドル戦や直前のカナダ戦で守備面にやや不安をのぞかせたが、そこもアジャストしてきていると期待してスタメンに推す。左サイドは組み立てとリスク管理の能力を重視して伊藤洋輝がチャンスを得るか。

【W杯PHOTO】30度を超える炎天下の中…コスタリカ戦に向け元気にトレーニングを行う日本代表!
 
 中盤は6月のガーナ戦で先発した柴崎岳、久保建英をセレクト。ドイツ戦は左サイドで起用された久保だが、45分でアウトしているので連戦でも問題ないはず。柴崎はもともと、このコスタリカ戦の起用が見込まれていたのではないか。

 もう1人は、守田英正が100%ならコスタリカ戦のスタメンを想定していたが、90分のハードワークを求めるのは危険なので、遠藤航をスタートで出して、どこかで守田を投入していく流れを考えている。鎌田大地も勝負のカードに回し、前半からリードを奪えれば、スペイン戦に備えて温存でも良いぐらいだ。
 
 三笘薫もスタメンの可能性は十分あるが、できればスペイン戦も含めて、全ての試合で勝負の切り札にしたいので、ここは左に相馬勇紀を起用し、流れを見ながら三笘投入のタイミングを見極めるというのが良いと考える。

 右はドイツ戦で1得点の堂安律、トップはポストプレーとフィニッシュの両面で期待できる上田綺世にチャンスが回ってくると見る。終盤に得点が必要なら町野修斗にもチャンスがありそうだ。

 最後にGKはオーソドックスな予想として、ドイツ戦で大活躍した権田修一にしたが、森保監督の中でボールを握ることが前提になる試合で、ビルドアップが問われてくることを踏まえて、最初からシュミット・ダニエルの起用を想定している可能性も付記しておく。

文●河治良幸