【FIFA ワールドカップ カタール 2022・グループC】アルゼンチン vs メキシコ(日本時間11月27日/ルサイルスタジアム)
36戦無敗の完成された「メッシ・システム」が、最も肝心のW杯本番でシステム障害を起こしたかのように見えたアルゼンチン。土俵際に追い込まれて臨む相手は曲者メキシコだ。
【映像】土俵際に追い込まれたアルゼンチン、絶対に負けられない戦いへ
純粋なFIFAランキング、メンバーの格、実績、全てアルゼンチンが上回っている。通常であればかなりの確率で勝ち点3を手にするはずだが、この第2戦で「勝ち点0」という結果に終われば、それはすなわち彼らの敗退を意味する。ピッチに立つ選手のプレッシャーは相当なものだろう。
メキシコ戦では90分間に幾多のハードルが存在する。
0-0の場面。
まず、このシチュエーションでの運び方をどうするのか?地力の違い通り果敢に攻め立て、先制点を奪い、そのまま試合を支配するのか?試合巧者であるメキシコの出方を窺い、絶対に避けるべき失点のリスクを最小限におさえる運びにするのか?監督はもちろんのこと、ピッチにいる11人が目の前の状況を見ながら判断し、プレーする。もっともヒリヒリする時間帯である。
1-0の場合
このまま逃げ切れば勝ち点3という状況でどう手を打つのか?残りの時間は?サウジで失敗したことを繰り返すわけにはいかない。残り200分あっても点を与えない鉄壁な要塞を築くのか?それとも天国に入るドア(2点目)を開けにいくのか?まさに分刻みで判断を求められるシビアな状況となる。
0-1の場合
ここでは全ての選択肢は集約される。点を獲りに行くしかない。そして戦う相手は目の前のメキシコのDFやGKであるが、見えない「サウジ戦の悪夢」とも戦わなければならない。そして全員が前掛かりになった時は最も危険だ。メキシコがその裏を虎視眈々と狙ってくる。アルゼンチンにとっては絶対に現れて欲しくない状況だろう。
90分の中でこの状況は必ず現れる。この試合が最後のW杯となるメッシの、最後のプレーとなってしまうのか?我々はそれに注視するだけだ。
対するメキシコ。彼らを一言で言えば「試合巧者」。畏敬の念を込めれば「曲者」とも呼べる。どの強豪国と相対しても必ず「刺す矢」を忍ばせ、勝ち点を狙える実力を備えている。献身的な労働力と、老獪なポジショニングと、一瞬のスピードの抜け出しが、ピッチに立つ全員に備わっているのだ。
勝ち点1を持つ立場で格上のアルゼンチンに対峙するメキシコは、老獪に事を運ぶだろう。メキシコにすればこの試合での勝ち点1は願ってもないご馳走になる。メキシコだって一番避けたいのは、手負いの獅子(アルゼンチン)に完膚無きまでに叩きのめされることだ。そうなればグループの下位になり下がってしまう。
お得意の4-3-3が、4-1-4-1に変わってもまったく驚かない。デュエル王アルバレスを中心にまずは守りを固める戦法でアルゼンチンの攻めをどこまで凌ぐか?彼らにとってこの試合の大きな課題だ。
スタメン予想は難しい。暑さとハードスケジュールのために、ターンオーバーを用いるのが本大会のトレンドになるはずだ。しかし、選手の変更が全てプラスに働く場合もあれば、働かない場合もあるだろう。
初戦で輝いた選手は当然継続起用すべきだし、低調だった選手は替えるべきだ。ジーコが言っていた「勝っている時は替えない」というテーゼはこの大会でどこまで当てはまるのだろうか?
そういう意味では、アルゼンチンは「替えて当然」なのだが、メッシ・システムの正常起動が最優先なので、敢えて初戦と同じ顔ぶれでも不思議ではない。
(ABEMA/FIFAワールドカップ カタール 2022)