カタール・ワールドカップのグループステージ初戦で、日本はドイツに2-1で競り勝ち、白星スタートを切った。前半に先制を許すも、後半に堂安律、浅野拓磨のゴールで逆転。優勝候補相手に大金星を挙げた。

 次の相手はコスタリカ。連勝を期す一戦で森保ジャパンはどんな戦いを見せるか。国内外のサッカー事情に精通し、今大会も現地で取材する河治良幸氏に、コスタリカ攻略の三大ポイントを挙げてもらった。

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 コスタリカは初戦でスペインに0-7の大敗を喫したが、彼らにとってもまさかの結果だろう。ただ、イラクでの入国トラブルで直前のテストマッチを行なえなかったりと、不運なところもあった。

 最終予選ではカナダに1-0の勝利を飾り、ニュージーランドとの大陸間プレーオフでも1-0でW杯出場を決めており、守備の弱いチームではない。スペインが相手だったということを抜きにしても、初戦の姿が本来のコスタリカだと思ってかからないほうがいいだろう。
 
 1つ目のポイントとして挙げたいのが、アクションで崩していくアイデアを共有すること。守備を固められやすいので中央突破も大事になる。堅守速攻の形を崩さないと見た場合に、自分たちからアクションを起こして崩すことをベースに、二次攻撃などを加えて畳み掛けたい。

 中央を固められた時はサイドを切り崩すことも大事だが、サイドだけになってしまうと、アジア予選で起きていたような問題になって、攻撃が詰まってしまうので、サイドを餌にしてインを突くなど、上手く使い分けて厚みのある攻めをする必要がある。

 キーマンは久保建英か。先発したドイツ戦では前半のみで交代となったが、コスタリカ相手にインサイドで起用される可能性もある。彼自身は「相手は後がないなか、たぶん前から、けっこう来ると思う」と試合を予想しているが、バイタルを固められた時に周囲とのコンビネーションで間を割っていく仕掛けを得意としており、少しワイドな位置からのシュートも上手い。

 ボランチに柴崎岳が入れば、久保に前向きのアクセルを踏ませるパス出しやサポートも重要になる。もちろん鎌田大地や南野拓実が出た場合もそうだが、中央の攻略はキーポイントになる。

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 2つ目はリスクマネジメントだ。日本はドイツ戦に向けて100%、120%のパワーをかけてきたので、コスタリカ相手に違う展開になった時に、後ろの管理が難しくなる。

 左SBでスタメンの可能性もある伊藤洋輝に聞くと「前線の選手に当てながらやってくると思うので。そこの対応はしっかりしていきたい」と語った。

「数的不利になる状況はないと思うので。そこはしっかりオーソドックスに数的優位を作って、最低でも同数で、同数プラス誰かしらリスク管理で残しておくことがセオリー。そこの確認は試合中、その都度、その都度やっていきながらも、テンポを上げて攻撃しなきゃいけないこともあると思うので、勇気を持ってやっていきたいと思います」

 コスタリカにはホエル・キャンベルやジェウィソン・ベネットなど、スピードのあるアタッカーが揃っている。4-4-2の前線に当てて、落としやセカンドから一気に運んでくる攻撃には注意が必要だ。

 スペインも7得点が注目されるが、シュート0本に抑えたのは攻めながらのリスクマネジメントがほぼ完璧だったからでもある。それでも1つ抜けたら危険なシーンはあり、当たり前のことをしつこいぐらい確認しながら隙を与えないようにしたい。
 
 3つ目はセットプレーの守備だ。コスタリカの最大の強みがセットプレーからの得点力で、CKは得点源となっている。スペイン戦は後半からの出場だったが、196センチのケンダル・ワストンという超大型センターバックがいる。

 中盤には182センチのセルソ・ボルヘス、183センチのケイセル・フレールなどもおり、186センチのオスカル・ドゥアルテなど、高さのあるターゲットマンに、178センチながら俊敏なキャンベル、180センチのアンソニー・コントレラスがゴールに迫ってくる。

「セットプレー1本で負けるというゲームはやっぱりあるので、そこは改めてチームで対策をしていきたい」と伊藤は語る。カナダ戦でCKから失点した日本は、ドイツ戦で吉田麻也をゾーンマーカーにするなど修正していた。

 コスタリカはスペイン戦でCKが1つも無く、直近のスカウティングがまるでできていないので、過去のデータは参考にしつつも、選手たちがピッチ上で柔軟に対応していく必要がある。もちろん、CKや危険な位置でのFKを与えないに越したことはない。

文●河治良幸