【戦評】ドイツがグループ突破へ意地のドロー、スペイン戦で勝ち点1を獲得

 カタール・ワールドカップ(W杯)は大会8日目を迎え、日本代表が2試合目を迎えた。しかし、そのゲームはコスタリカ代表を相手に0-1で痛恨の敗戦になった。ドイツ代表とスペイン代表の強豪対決は引き分けに。モロッコ代表は前回3位のベルギー代表を相手に強烈なアップセット。クロアチア代表は初戦の低調さから立ち直ってカナダ代表を撃破している。

■日本 0-1 コスタリカ
グループE第2戦
キックオフ:現地時間11月27日13時(日本時間27日19時)

0-1 後半36分 ケイセル・フレール(コスタリカ)

 初戦でドイツに勝利して世界を驚かせた日本は第2戦で5人のスタメン変更。W杯に初出場の選手を4人ピッチに送り込んだが裏目に出た。ボールを持っているようで効果の低い攻撃になる時間帯が続き、明確に3バックに変更してからも連動性が欠如。個の突破力が武器の選手を投入した後はその選手をシンプルに使わないというチグハグなことを繰り返し、ラスト10分で自陣での無理あるつなぎからボールロストをして失点。ベンチワークもピッチ上も極めて残念な時間を過ごし、敗戦となった。

■ベルギー 0-2 モロッコ
グループF第2戦
キックオフ:現地時間11月27日16時(日本時間27日22時)

0-1 後半28分 ロマン・サイス(モロッコ)
0-2 後半AT2分 ザカリア・アブカウ(モロッコ)

 スター軍団ベルギーに対して堅守をベースに互角以上の戦いを見せたモロッコは、前半終了間際にはゴールネットを揺らす。これは際どいオフサイドでゴール取り消しとなったが、後半28分には角度のないセットプレーからFWアブデルハミド・サビリが直接狙うと、味方も連係してGKティボー・クルトワの視野を制限してボールがゴール内に。さらに試合終了間際にMFザカリア・アブカウが追加点を挙げたモロッコが、1998年フランスW杯以来の本大会勝利で世界ランキング2位に強烈なアップセットを食らわせた。

■クロアチア 4-1 カナダ
グループF第2戦
キックオフ:現地時間11月27日19時(日本時間28日1時)

0-1 前半2分 アルフォンソ・デイビス(カナダ)
1-1 前半36分 アンドレイ・クラマリッチ(クロアチア)
2-1 前半44分 マルコ・リバヤ(クロアチア)
3-1 後半25分 アンドレイ・クラマリッチ(クロアチア)
4-1 後半AT4分 ロブロ・マイェル(クロアチア)

 初戦が低調だったクロアチアはこのゲームでも前半2分にバイエルン・ミュンヘンでプレーするカナダのDFアルフォンソ・デイビスに先制点を許してしまう。しかし、前半36分にゴール量産が期待されるFWアンドレイ・クラマリッチが同点ゴールを奪うとリズムが好転。前半終了間際に勝ち越すと、後半にはクラマリッチがこの日2点目。試合終了間際には、クロアチアの中盤で時代のリーダーとも目されるMFロブロ・マイェルが大舞台での初ゴールを決めて今大会の初勝利を手にした。

■ドイツ 1-1 スペイン
グループE第2戦
キックオフ:現地時間11月27日22時(日本時間28日4時)

1-0 後半17分 アルバロ・モラタ(スペイン)
1-1 後半38分 ニクラス・フュルクルク(ドイツ)

 初戦のコスタリカ戦で7ゴールの圧勝を飾ったスペインは、日本にまさかの逆転負けを喫したドイツを相手に序盤から積極的に攻め込む。自慢のパスワークで相手ゴールへ迫りながらあと一歩を欠く展開となったなか前半40分、セットプレーからDFアントニオ・リュディガーにゴールを決められるも、オフサイド判定でノーゴールとなりスコアレスで前半を折り返す。すると後半17分、途中出場のFWアルバロ・モラタがクロスを合わせて先制。グループ突破へ大きく近づくも終盤にFWニクラス・フュルクルクに同点ゴールを許し、勝ち点1ずつを分け合う形となった。

【グループ順位】日本はグループ突破へ険しい道のり、F組は混戦模様

■グループE
1位 スペイン 勝ち点4(得失点差+7)
2位 日本 勝ち点3(得失点差0)
3位 コスタリカ 勝ち点3(得失点差-6)
4位 ドイツ 勝ち点1(得失点差-1)

■グループF
1位 クロアチア 勝ち点4(得失点差+3)
2位 モロッコ 勝ち点4(得失点差+2)
3位 ベルギー 勝ち点3(得失点差-1)
4位 カナダ 勝ち点0(得失点差-4)

グループEは日本が敗戦しながらも2位を維持したが、最終戦の相手がスペインという事情からグループ突破へは険しい道のりとなる。スペインに勝利すればグループを突破できるものの、敗戦は確実に、引き分けでも多くの条件下で敗退が決まる。コスタリカ戦の代償は大きすぎた。一方で、意地の同点ゴールで引き分けに持ち込んだドイツにとっては希望が大きく開けた。スペインは得失点差の大きさから、見た目以上に突破条件を満たすのが易しい状態になっている。

グループFはクロアチアの復活とモロッコのアップセットにより上位3チームが混戦と化したが、1986年メキシコW杯以来の出場だったカナダは残念ながら敗退が決定した。最終戦は前回準優勝のクロアチアと3位のベルギーが直接対決する。両者が揃って突破できる可能性も存在するが、それにはモロッコの敗戦が絶対条件のためどちらかが敗退する可能性が高い。欧州勢同士の意地と意地がぶつかり合う強烈な最終戦になりそうだ。(FOOTBALL ZONE編集部)