個人的に、ギャンブルがあまり好きではない。パチンコも麻雀もトトカルチョもほとんど手を出したことがない。だから、カタールW杯における森保ジャパンには不安を持ってしまう。
 
 今大会の日本代表は、11月23日のドイツ戦、そして27日のコスタリカ戦ともに、4-2-3-1でスタートしている。しかし、ドイツ戦は後半頭から、続くコスタリカ戦は前半35分頃から3-4-2-1に修正。アディショナルタイムを含めて時間で換算すれば、3-4-2-1のほうが4-2-3-1よりも長く使っている状況だ。
 
 相手のシステムに対する噛み合わせ、ドイツ代表やスペイン代表に対する個人能力の差、ディフェンスの安定度(守備時は5バックになる)、そしてここまでの戦いぶりなどを加味すると、3-4-2-1のほうが今大会の日本代表には向いているようにも思う。
 
 ただし、準備が明らかに不十分だ。森保一監督は就任からの約4年半で3-4-2-1をほとんど使わず、W杯の組分けが決まっていた今年6月以降で考えても、9月のアメリカ戦とエクアドル戦、11月のカナダ戦という3試合の終盤で計20分間ほど試しただけだった。
 
 にもかかわらず、前述した通り本番では、4-2-3-1よりも3-4-2-1の使用頻度がむしろ高い。日々の取材対応で選手や監督は事あるごとに「4年間の積み上げ」を強調するが、3-4-2-1にはその積み上げがほとんどないのだ。サッカーの結果には様々な要素が噛み合いギャンブル的な側面があるのは分かるが、その偶発的な要素を戦術や戦略でできるだけ潰し、勝利を掴もうというのが現代フットボールの考え方のはずだが……。
 
 しかもドイツ戦は、最終的にWBの右に伊東純也、左に三笘薫を置く超攻撃的な布陣。この日本代表では初めての配置がハマり、歴史的な逆転勝利に繋がったのは事実だ。しかし、その試合後に長友佑都が「ミーティングや選手間でしっかり話し合ってきた」、三笘が「ほぼぶっつけ本番だった」、森保監督が「練習は4バック中心なので、3バックはやっていません。でも、親善試合ではやっているし、ミーティングでは示唆していました」と語っている。
 
 つまり3-4-2-1は、話し合いだけで強化試合はおろかトレーニングでも細部を積められてない、いわばギャンブル的なシステムなのだ。そのどっちに転ぶか分からない博打でたまたま、ドイツ戦は勝ち、コスタリカ戦は負けた。それ以上でもそれ以下でもない。
 
 ドイツ戦も右サイドで伊東と堂安律の立ち位置が被っていたり、両WBが高い位置を取るタイミングを計りかねていたり、ビルドアップのルートが詰まったりするシーンがあった。続くコスタリカ戦は、身長の低い長友佑都がなぜか3バックの一角を担い、同じレーンに人がかぶりすぎ、左サイド(伊藤洋輝と三笘)のルートがなかなか繋がらず、さらに受け手と出し手の意思が合わないが末のボールロストが多発とさらに多くのトラブルが発生。こうした戦術的かつ配置上の問題は、事前にしっかり準備されていれば間違いなく防げたはずだ。
 
 12月1日のスペイン戦に向けては、頭から3-4-2-1を採用すべきという声も多い。仮にそれが現実になったとしても、このシステムは細部が積められておらず、偶発的な要素に結果が大きく左右されるギャンブルであることに変わりはない。せめて攻撃時の立ち位置、ビルドアップの基本ルートくらいは練習で作り込んで欲しいが……。
 
取材・文●白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

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