【専門家の目|金田喜稔】第3戦で日本とスペインが激突「これほど楽しみな一戦はない」
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は、11月27日のカタール・ワールドカップ(W杯)グループE第2節でコスタリカ代表(同31位)と対戦し、0-1と惜敗した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、12月1日(日本時間2日4時)に行われるスペイン代表との第3戦を展望した。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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ドイツ戦もそうだったが、相手に主導権を握られても、ある程度やることがハッキリしている時には日本の良さが出る。逆にW杯のアジア最終予選をはじめ、コスタリカ戦のように日本が主導権を握って攻める時には苦戦するケースが多く目立つ。
日本サッカーの未来を考えた時、そして世界的にもうワンランク上のチームになるためには、主導権を握った時に相手を圧倒する力が不可欠だ。簡単に言えば、守られても崩し切る攻撃力だ。ただ、今それを言っても仕方がない。
まずは目の前のスペイン戦に目を向けると、ドイツ戦と同様、スペインが主導権を握る展開になるだろう。むしろそのほうがいいのかもしれない。そうなると、日本としては割り切ったサッカーができるので、やることはある程度明確になる。ドイツ戦と同様、前半に失点しても0-1ぐらいの展開であれば盛り返す可能性は十分にある。
過去の日本戦を見ても、日本より格上のチームとやった時、日本は割り切ったサッカーでかなりいいサッカーをする試合が多い。そういう意味では、スペイン戦も日本が一発で仕留めるという展開は十分にあるし、コスタリカが日本に見せたようなサッカーで勝利をもぎ取ることも可能だ。
スペインにとっても、日本戦は負けられない一戦だ。現在グループ首位とはいえ、日本に負ければ敗退もあり得る。しかも、初戦でドイツを撃破した日本が相手となれば、本気のスペインが100%の力を持って倒しにくるだろう。
世界的な下馬評で言えばスペイン有利で、日本は負けても当然と思われている。だからこそ日本は捨て身で戦える。そんな日本を相手にするのだから、勝って当たり前というスペインは相当嫌だろう。戦力的には劣っているかもしれないが、「もうやるしかない」という日本のほうが精神的には優位だ。W杯でのガチンコ勝負。これほど楽しみな一戦はない。
ドイツに奇跡を起こして、コスタリカに地獄に落とされて、またスペイン戦で奇跡を起こす――。そんな展開となれば世界が受ける衝撃は計り知れない。ビッグサプライズを心から期待している。(FOOTBALL ZONE編集部)