FIFAワールドカップカタール2022・グループBの第3節(最終節)が29日に行われ、ウェールズ代表とイングランド代表が対戦した。

 プレミアリーグで活躍する選手たちを多く抱えるイングランド代表は、大会前から“優勝候補”と目されている。第1節ではイラン代表を6-2で撃破し、圧巻のゴールショーを披露。早々と決勝トーナメント行きを決めるかと思われたが、第2節のアメリカ代表戦はスコアレスドローで終わり、グループ突破の確定は最終節まで持ち越しとなった。一方、ウェールズ代表はアメリカ代表との初陣を1-1のドローで終えると、第2節のイラン代表戦は終盤に守護神のウェイン・ヘネシーが退場となったことも影響し、後半アディショナルタイムの2失点で試合を落としていた。決勝トーナメント行きは絶望的となっているが、この試合に勝利すればわずかな希望が残っている。

 イングランド代表は前節からスターティングメンバー4名変更。フィル・フォーデン、マーカス・ラッシュフォード、ジョーダン・ヘンダーソンが大会で初めて先発に名を連ねただけでなく、そけい部の負傷により離脱が続いていたカイル・ウォーカーが初出場を果たした。一方、ウェールズ代表は3名を変更。ヘネシーが出場停止のため、ゴールマウスはダニー・ウォードが守っている。

 試合は序盤からイングランド代表がボールを握る展開となり、10分にビッグチャンスを迎える。デクラン・ライスが縦に繋ぐと、ボールを受けたハリー・ケインは中央から門を通すスルーパスを供給。抜け出したラッシュフォードがGKと1対1のチャンスを迎えたが、ここはGKウォードが鋭い飛び出しを見せてシュートストップ。ゴールを許さなかった。

 37分には華麗なパスワークでボックス内に侵入し、最後はフォーデンが左足を振ったものの、シュートは枠の外へ。対するウェールズ代表は後半アディショナルタイム、クリス・メファムからのパスを受けたジョー・アレンが左足でフィニッシュまで持ち込んだが、シュートはクロスバーを超えていった。前半はこのままスコアレスで終了している。

 後半に入ると均衡が破れる。50分、ペナルティエリア手前やや左寄りの位置でフリーキックを獲得すると、キッカーを務めたラッシュフォードが右足で強烈なシュート。この一撃がファーサイドに突き刺さり、イングランド代表が先手を取った。

 続く52分にはハイプレスでイングランド代表がゴールに襲いかかる。ウェールズ代表の左サイドにボールが渡ると、ラッシュフォードがベン・デイヴィスからボールを引っ掛ける。当たったボールがケインの元に転がり、ボックス右の深い位置からグラウンダーのクロスボールを送ると、最後はファーサイドに走り込んだフォーデンが流し込んだ。イングランド代表が大きな追加点を記録している。

 その後はウェールズ代表がキーファー・ムーアを中心にシュートチャンスを作ったものの、決定的な場面は作り出せず。すると68分、イングランド代表はカルヴィン・フィリップスの浮き球スルーパスにラッシュフォードが反応。右サイドから中央へと持ち運び、鋭い切り返しから左足を振り抜くと、鋭いシュートがゴールネットを揺らす。イングランド代表が決定的な3点目を挙げた。

 試合はこのままタイムアップ。スタメンに抜擢されたラッシュフォード、フォーデンの活躍もあって、イングランド代表がウェールズ代表との“バトル・オブ・ブリテン”を制した。この結果、イングランド代表は他会場の結果を待たずにグループAの首位通過が確定。一方、64年ぶりのワールドカップに臨んだウェールズ代表の挑戦は、グループステージで幕を閉じた。

 決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)は12月3日からスタート。グループBを首位通過したイングランド代表は、4日にグループAを2位で通過したセネガル代表との一戦に臨む。

【スコア】
ウェールズ代表 0-3 イングランド代表

【得点者】
0-1 50分 マーカス・ラッシュフォード(イングランド代表)
0-2 52分 フィル・フォーデン(イングランド代表)
0-3 68分 マーカス・ラッシュフォード(イングランド代表)

【スターティングメンバー】
ウェールズ代表(4-2-3-1)
GK:ウォード
DF:ネコ・ウィリアムズ(36分 ロバーツ)、メファム、ロドン、ベン・デイヴィス(59分 モレル)
MF:アレン(81分 コルウィル)、アンパドゥ、ベイル(46分 B・ジョンソン)、ラムジー、ジェームズ(77分 H・ウィルソン)
FW:ムーア

イングランド代表(4-2-3-1)
GK:ピックフォード
DF:ウォーカー(57分 A・アーノルド)、ストーンズ、マグワイア、ショー(65分 トリッピアー)
MF:ヘンダーソン、ライス(57分 フィリップス)、フォーデン、ベリンガム、ラッシュフォード(75分 グリーリッシュ)
FW:ケイン(57分 C・ウィルソン)