【FIFA ワールドカップ カタール 2022・グループH】ポルトガル2-0ウルグアイ(日本時間11月29日/ルサイル スタジアム)

ポルトガル代表の絶対的エース、クリスティアーノ・ロナウド、通称クリロナ。37歳。

サッカーの勝利に最も直結するゴールを、最も高い確率で最も多く生み出す。完璧な選手、それがクリロナだ。

【映像】W杯でも躍動 ポルトガル代表の絶対的エース、C・ロナウド

それなのに、何故かクリロナは、ライバルとされるメッシと比べられると「ヒール」(悪役)扱いされることが多い。

しかし、本当のクリロナを知ると、見方はかなり変わるはずだ。本当の彼の姿とは?

類まれなる「努力家」という事実を世界のサッカーファンはあまり知らない。見せかけの容姿やスーパーな部分に目が眩んでいるのだ。

クリロナがストイックなまでの努力家であることは多くの人が証言している。

「私の現役時代のどれよりも努力しており、優れている」

〈ジネディーヌ・ジダン〉

「最も早く練習場に現れ、最も多く練習し、最も遅い時間まで練習する男。今まで見てきた選手の中で最もプロ意識の高い選手」

〈ラウル・ゴンザレス〉

「彼のピッチ内外でのプロフェッショナルリズムの高さは想像以上。模範となるプレーヤーであり、自分が指導した選手の中で最高の選手」

〈カルロ・アンチェロッティ〉

「クリスティアーノは現代最高の選手。常に献身的で自身の行いに責任と愛情を持っていれば、成功することができることを世界の人々に示している」

〈ペレ〉

あの強靭な肉体とスキルは、ただ練習で作り上げたものではなく、毎日毎日の積み重ねの賜物である。クリロナは自身の生活をこう語っている。

「試合終了後も食事に出かけることは一切ない。ロッカールームで炭水化物とフルーツを食べて自宅に直帰する。そして温水と冷水に交互に浸かり、大好きなプールでリラックスするんだ。そしてサウナに入り、最低8時間の睡眠を欠かさない。計算された食事を1日に5~6回摂取する。食事=睡眠=練習。これを15年間繰り返している」

「このレベルの成功を15年間も維持することは、ベストになるために費やしてきた忍耐力と深く関わっている。僕をナルシストだと思わないでほしい。サッカーへの愛情がすべてで僕のサクセスストーリーに奇跡や秘密はない。妥協を許せる時間や場所はないんだ。常に緊張感をもって生活している」

クリロナほど、自分に厳しく、サッカーを愛して、選手としての努力を続けている選手はいない。おそらく、間違いなく、このW杯参加の選手でNo1だろう。

クリロナに触れる選手や監督は誰もがクリロナをリスペクトし、一目置く。それは今の代表でも同様だろう。カタールW杯に臨んでいるポルトガル代表は綺羅星のような集団だ。A・マドリーの貴公子=ジョアン・フェリックス、マンチェスターCの仕掛け人=ベルナルド・シウバ、マンチェスターUのクリエーター=ブルーノ・フェルナンデス、ミランの疾風=ラファエル・レオンなど。

それら一流選手がW杯ではクリロナを中心に役割を全うしている。まるで太陽の周りを規則正しく回る惑星たちのように。これは全員がクリロナを認め、彼と一緒にW杯を頭上に掲げたいと本気で思っている証拠だ。5度目のW杯でもやはりポルトガル代表の中心は、37歳のクリロナなのだ。

誰よりも努力を続け、ボールを愛し、そしてストイックに自分を追求するクリロナは、まだ一度もW杯を掲げていない。そんなクリロナのW杯勝利を願うのは、代表の仲間達だけでなく、普通の感情を持つ人間なら至極当然なのではないだろうか。

文:橘高唯史

(ABEMA/FIFA ワールドカップ カタール 2022)