FIFAワールドカップカタール2022(カタールW杯)が、11月20日に開幕し、グループリーグの各試合が行われている。多くの熱戦が繰り広げられる中、下馬評通りの試合や、その逆であるジャイアントキリングが起きる試合など、様々な結果となっている。改めてサッカーは何が起こるかわからないことを、カタールの地から教わっている。

ここではカタールW杯グループリーグ、A〜Hの8つの各グループの試合結果を振り返り、12月2日からの決勝トーナメントに備えていこう。まずは前編としてA~Dグループをご紹介する。後編はE〜Hグループの振り返りを行っていこうと思う。


カタールW杯グループリーグ結果まとめ【前編】グループA~D
オランダ代表 DFフィルジル・ファン・ダイク 写真:Getty Images

グループA

盤石のオランダ、戻ってきたアフリカ王者

  • 1位:オランダ
  • 2位:セネガル
  • 3位:エクアドル
  • 4位:カタール

オランダが下馬評通りの強さを発揮し、グループ首位通過を決めた。3試合での失点はわずか1。フィルジル・ファン・ダイク(リバプール)を中心とした守備陣はゴール前で非常に強固な壁となった。ファン・ハール監督の采配も的中し、決勝トーナメントに向けて盤石な仕上がりを見せた。

2位はアフリカ王者のセネガル。第3戦でエクアドルとの直接対決を制し、20年振りの決勝トーナメント進出を決めた。特に攻撃陣の爆発した時の力は強く、ダークホースになる可能性が高い。

エクアドルはチームとしての完成度が高く、試合を追うごとに期待値が上がったが、最後の1点に泣いた。開催国カタールは、勝ち点を1点も獲得することができず、大会を去ることとなった。


カタールW杯グループリーグ結果まとめ【前編】グループA~D
イングランド代表 FWマーカス・ラッシュフォード 写真:Getty Images

グループB

ヒーロー揃いのイングランド、若きチームアメリカ

  • 1位:イングランド
  • 2位:アメリカ
  • 3位:イラン
  • 4位:ウェールズ

今大会最高の攻撃陣を備えているイングランドが得点力を発揮し、首位突破。試合ごとにヒーローが登場し、選手層の厚さを感じさせた。特に第3戦で活躍したマーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)は決勝トーナメントでも活躍が期待される。

2位はアメリカ。グループリーグでの得点数はわずか2。勝ち点を確実にとっていく試合運びは若手中心のチームらしからぬ結果となった。若手中心のチームとして、この結果はチームに対してポジティブな影響を与えることは間違いない。20年振りのベスト8を狙う。

イランは、アジアチームらしからぬゲーム運びを見せた。各試合ゴールに迫る迫力は凄まじく、対戦相手はかなり圧力を感じたに違いない。守備面を磨けば、将来的にベスト8を目指せる。

64年振りのW杯出場となったウェールズだが、勝ち点は1にとどまった。しかし、随所で素晴らしいプレーを見せ、特に第3戦におけるネコ・ウィリアムズ(ノッティンガム・フォレスト)はラッシュフォードのシュートを顔面でブロックするという気迫のプレーを見せ、英国としての誇りを胸に大会を去る。

カタールW杯グループリーグ結果まとめ【前編】グループA~D
アルゼンチン代表 FWリオネル・メッシ 写真:Getty Images

グループC

目指すは悲願の優勝アルゼンチン、試合巧者ポーランド

  • 1位:アルゼンチン
  • 2位:ポーランド
  • 3位:メキシコ
  • 4位:サウジアラビア

第1戦を落としたアルゼンチンに暗雲が立ち込めたが、しっかりリカバリーし、1位通過を果たした。エースのリオネル・メッシ(パリ・サンジェルマン)を中心とした攻撃陣の活躍が決勝トーナメントでも鍵となる。

得失点差によって、2位通過はポーランド。第3戦はある意味ギャンブル采配となったが、守備に徹し攻撃はしない選択を取ったことによって、決勝トーナメント進出を果たし試合巧者ぶりを発揮した。

あと数歩のところで決勝トーナメント進出を果たせなかったメキシコ。第1戦で勝ち切ることができていれば、9大会連続決勝トーナメントがみえた。

カタールW杯におけるベストジャイアントキリングチームは、日本ではなくサウジアラビアである。第1戦でアルゼンチンを2-1で撃破。アルゼンチン戦で見せた攻撃の圧力を維持し続けることができれば、決勝トーナメントはすぐそこだった。


カタールW杯グループリーグ結果まとめ【前編】グループA~D
フランス代表 FWキリアン・ムバッペ 写真:Getty Images

グループD

守備面に課題が残るフランス、復活を遂げたオーストラリア

  • 1位:フランス
  • 2位:オーストラリア
  • 3位:チュニジア
  • 4位:デンマーク

守備面で多少の不安を残すも、盤石な強さで1位通過を決めたフランス。「優勝チームは次の大会ではグループリーグで敗退する」というジンクスを、ものともしなかった。キリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)を筆頭に攻撃陣に期待がかかる。守備面を調整できれば、間違いなく優勝が見えてくるチームである。

第2戦以降、守備面の改善が素晴らしいオーストラリアが16年振りの決勝トーナメント進出を決めた。第2、3戦をともに1-0で勝利する力はチーム戦術が確立された証拠であろう。

第3戦でフランスを破るも、おしくもグループリーグ敗退となったチュニジア。チーム力は間違いなくベスト16に匹敵する。

クリスティアン・エリクセン(マンチェスター・ユナイテッド)率いるデンマークは、3試合で1得点しか挙げることができず、本来の攻撃を発揮せずに大会を去ることとなった。