【戦評】ブラジルはカメルーンに敗れるも得失点差で首位キープ
カタール・ワールドカップ(W杯)は大会13日目を迎え、グループリーグの最終日となった。グループHではポルトガル代表がすでに突破を決めていた一方で、韓国代表による劇的な突破が起こり、ウルグアイ代表が涙をのんだ。グループGでは、すでに突破を決めていたとはいえ、ブラジル代表がカメルーン代表に敗れる波乱があったものの、得失点差で首位をキープ。セルビア代表に競り勝ったスイス代表が突破16チーム最後の椅子を勝ち取った。
■ガーナ 0-2 ウルグアイ
グループH第3戦
キックオフ:現地時間12月2日18時(日本時間3日0時)
0-1 前半26分 ジョルジアン・デ・アラスカエタ(ウルグアイ)
0-2 前半32分 ジョルジアン・デ・アラスカエタ(ウルグアイ)
ガーナは勝利はもちろん、引き分けでも高確率の突破。逆に、ウルグアイは勝利が最低条件というキックオフに。ガーナは前半の早い段階でPKのチャンスを得たが、FWアンドレ・アイェウのシュートはGKセルヒオ・ロシェがセーブ。冷や汗をかいたウルグアイは反撃に出て前半のうちに2ゴールを奪い、試合を優位に進めた。後半も追加点を狙いつつ、コントロールしたウルグアイの顔色が変わったのは試合終了間際。別会場で韓国が勝ち越してもう1点が必要になると猛攻に出たがゴールできず、勝利したものの無念の敗退になった。
■韓国 2-1 ポルトガル
グループH第3戦
キックオフ:現地時間12月2日18時(日本時間3日0時)
0-1 前半5分 リカルド・オルタ(ポルトガル)
1-1 前半27分 キム・ヨングォン(韓国)
2-1 後半AT1分 ファン・ヒチャン(韓国)
すでに突破決定のポルトガルと、勝利が最低条件の韓国での対戦だったが、前半5分にポルトガルが先制する展開に。韓国は前半のうちにセットプレーで追いつくことに成功した。ハーフタイムに別会場の情報が入り、勝利できれば得失点差や総得点次第で突破という韓国は後半にギアが上がった。焦りが空回りするように攻撃が機能しないなか、アディショナルタイム突入直後に相手コーナーキックから一気のカウンター。負傷明けで途中出場のファン・ヒチャンが決め、大逆転の突破を果たした。
■セルビア 2-3 スイス
グループG第3戦
キックオフ:現地時間12月2日22時(日本時間3日4時)
0-1 前半20分 ジェルダン・シャキリ(スイス)
1-1 前半26分 アレクサンダル・ミトロビッチ(セルビア)
2-1 前半35分 ドゥサン・ブラホビッチ(セルビア)
2-2 前半44分 ブレール・エンボロ(スイス)
2-3 後半3分 レモ・フロイラー(スイス)
引き分けでも高確率で突破のスイスが先制するも、セルビアは前線のストライカーたちが勝負強さを発揮して逆転に成功した。しかしセルビアは、第2戦のカメルーン戦で引き分けに終わった要因でもあるリードした状態での試合運びの不安定さを再び見せ、スイスにもったいない同点ゴールを許してしまった。スイスが後半の開始直後に突き放すと、そのまま逃げ切りに成功して決勝トーナメント最後の椅子を手に入れた。
■カメルーン 1-0 ブラジル
グループE第3戦
キックオフ:現地時間12月2日22時(日本時間3日4時)
1-0 後半AT2分 バンサン・アブバカル(カメルーン)
すでに突破を決めているブラジルに対し、カメルーンは勝利したうえで別会場の結果次第の条件だった。ブラジルはスタメン9人を入れ替え、39歳のDFダニ・アウベスもピッチへ。ブラジルの攻撃がスムーズさを欠いた面も、カメルーンのGKデビス・エパシのファインセーブ連発もあり0-0で試合が推移。そして後半アディショナルタイムにカメルーンはFWバンサン・アブバカルが決勝点。しかし喜びのあまりにユニフォームを脱いでしまい、2枚目のイエローカードで退場に。スイスの結果で突破は逃したものの、予測不可能なチームの印象を強く残していった。
【グループ順位】ブラジルとポルトガルが首位通過
■グループG
1位 ブラジル 勝ち点6(得失点差+2)
2位 スイス 勝ち点6(得失点差+1)
3位 カメルーン 勝ち点4(得失点差±0)
4位 セルビア 勝ち点1(得失点差-3)
■グループH
1位 ポルトガル 勝ち点6(得失点差+2)
2位 韓国 勝ち点4(得失点差±0)
3位 ウルグアイ 勝ち点4(得失点差±0)
4位 ガーナ 勝ち点3(得失点差-2)
グループGはブラジルが最終戦でカメルーンに不覚を取るも辛くも首位通過。どちらかの試合で点差がもう1点つけば、総得点ではスイスが上だっただけにまさに薄氷の結果だった。一方のスイスはセルビアを相手に一時は逆転されて敗退の危機に瀕したが、欧州予選でイタリアを破って突破してきた勝負強さを本大会でも発揮して勝ち残りを決めた。カメルーンとセルビアは直接対決が3-3で終わったように、危なっかしさと意外性の同居するエンターテイメント性のあふれるサッカーを印象付けていった。
グループHは韓国が試合終了間際の決勝ゴールでポルトガルから金星を挙げた。ウルグアイもガーナを相手に勝利を収めたものの、最後の最後では総得点が差をつけた。第2戦までノーゴールと攻撃陣が沈黙してきたことが最終的には響いたか。2010年南アフリカW杯での3位を知るFWルイス・スアレスやFWエディンソン・カバーニには最後のW杯になることが極めて濃厚。サイクルを完全に切り替えていくことになりそうだ。(FOOTBALL ZONE編集部)