欧州勢はトータルで4勝2分7敗と苦しいグループリーグとなった

 カタール・ワールドカップ(W杯)は現地時間12月2日にグループリーグの試合が全て終了した。日本代表がスペイン代表に勝利して決勝トーナメント進出を勝ち取ったことが象徴するように、最終戦での劇的な展開は世界を熱狂させた。一方で、その原因と言えそうなデータの1つに「欧州勢の大失速」が挙げられそうだ。

 グループ初戦で、欧州勢の13チームは勝ち点25(平均1.92)を獲得する衝撃の強さを見せていた。しかし、第2戦以降ではフランス代表とデンマーク代表のように欧州勢同士が対戦するカードが組まれるようになったとはいえ、失速ぶりが明らかになった。

 まず第2戦では13チームで勝ち点17(平均1.30)の獲得に留まり、最終戦では13チームで勝ち点14(平均1.08)と完全に失速。トータルで見れば4勝2分7敗と苦しい戦いになり、決勝トーナメント進出は7チームとかろうじて過半数を確保するにとどまった。

 躍進が目立つアジア勢だが、開催国カタールを含め6チームが出場して第1戦は勝ち点7(平均1.17)、第2戦も勝ち点7(平均1.17)と粘りを見せ、第3戦は勝ち点9(平均1.50)を獲得。日本がスペイン、韓国代表がポルトガル代表、オーストラリア代表がデンマーク代表に勝利して決勝トーナメントへの切符を勝ち取った。

 南米勢は第1戦から順に勝ち点7(平均1.75)、勝ち点7(平均1.75)、勝ち点6(平均1.5)と堅調で、北中米カリブ海勢は勝ち点2(平均0.5)、勝ち点4(平均1.00)、勝ち点6(平均1.50)と尻上がりだったが、それ以上に後半戦で力強さを見せたのはアフリカ勢だった。

 5チーム出場のアフリカ勢は第1戦が勝ち点2(平均0.40)と壊滅的なスタートだったが、第2戦で勝ち点10(平均2.00)で一気に復活。そして最終戦は勝ち点12(平均2.40)を稼ぎ出す大躍進だった。

 ただし、このアフリカ勢の最終戦勝利はフランス代表に勝利したチュニジア代表と、ブラジル代表に勝利したカメルーン代表が含まれる。いずれもすでに突破を決めた相手のターンオーバー起用に対する勝利だったが、両チームとも出遅れが響いてグループリーグの結果は敗退だった。

 欧州勢の失速とアフリカ勢の躍進は、いかに試合会場が冷房完備とはいえ、トレーニングなどの環境では全体的に暑さのある中東開催の影響もあるのか。また、それでも欧州勢の過半数が突破することの意味は、グループリーグの初戦でしっかり勝ち点を稼いでおくことの重要性を示すデータと言えるのかもしれない。(FOOTBALL ZONE編集部)