【FIFA ワールドカップ カタール 2022・決勝トーナメント1回戦】イングランド vs セネガル(日本時間12月5日/アル・バイト・スタジアム)

ラウンド16。どの国もここからが本当の闘いになる。グループリーグとは趣も変わる。得失点差は関係なく、総得点も関係ない。勝ち点の読み合いもなく、一騎打ち感がマックスとなる。そして90分で決着がつかなければ延長戦がある。それでも決まらなければPKだ。

【映像】屈指の攻撃力を誇る新生イングランド vs 初のベスト4を狙うアフリカ最強セネガル

「おそらくイングランドだろう」誰もがこのカードを見て思っているはずだ。だが「大方の予想」というものがいかに当てにならないかは、サウジのアルゼンチン戦、日本のドイツ、スペイン戦の予想を見れば明らかだ。

だからイングランドは慎重に試合に入るだろう。なんといっても2つのチームを持てるぐらいの豊富な攻撃陣を持っているのだから。前半と後半でまったく違うスカッドを持つことも可能なくらい、今のイングランドの「前」は充実している。

問題は「後ろ」だろう。ジョン・ストーンズとハリー・マクガイアが鉄壁だとはとても言えない。平均的なDFだと言ってもいい。イングランドにファン・ダイクはいない。

またルーク・ショーとキーラン・トリッピアの「ツルベの動き」も完璧ではない。ルーク・ショーが上がり気味になるのは、セネガルだけでなく、世界中のサッカー通に知れ渡っている。イングランドには敵に与えるスペースというものが結構ある。

鍵はデクラン・ライスだろう。彼が危険を察知して最終ライン前にボールに制約を加える(コースを切り、自由にさせない)、前線と最終ラインとの良き橋渡しとなってボールを縦横に配給する。前線から戻ってきたボールにアイデアとエッセンスを加えるなら、この試合はイングランドのものになる。

また、イングランドはグループリーグで1枚もイエロー・カードをもらっていない。誰も累積で欠場するどころか、次の累積イエローを気にしてチャージを緩める必要がないのだ。これは従来のイングランドにない「変わりつつあるイングランド」の一部に見える。

対するセネガルは、モロッコとともにアフリカの牙城を守った。アフリカ最強と謳われるセネガルがこのグループリーグで負けるわけにはいかなかった。

イングランドに立ちはだかるのは、プレミアのチェルシーコンビ。GKメンディとCB クリバリだ。この2人は、イングランドの攻撃陣と日常で戦っており、癖や動きは熟知している。脂が乗り切ったこのベテラン守備陣をイングランドの若者が切り崩すことが出来るのか?は、この試合の最大の見どころだろう。

最大の懸念は、中盤の軸でありダイナモであったゲイエの累積欠場だ。中盤をイングランドに制されると、やはりアフリカの雄といえども苦しいはずだ。

グループリーグ初戦に敗れながら、不屈の野心で残りを連勝してノックアウトに名乗りでたアフリカ最強のセネガル。

イングランドはあと4つ勝てば、56年ぶりの優勝、このセネガル戦は56年の時間を一気に駆け上がるファーストステップにしたい。

実はどちらが勝ってもまったく不思議ではないマッチアップ。まさにW杯ラウンド16らしい試合がイングランドvsセネガルだ。


両チームのスターティングメンバーは以下の通り

【イングランド】

GK  

ジョーダン・ピックフォード

DF

カイル・ウォーカー

DF

ルーク・ショー

ジョン・ストーンズ

ハリー・マグワイア

MF

デクラン・ライス

ジョーダン・ヘンダーソン

ジュード・ベリンガム

FW

ハリー・ケイン

ブカヨ・サカ

フィル・フォーデン

【セネガル】

GK

エドゥアール・メンディ

DF

カリドゥ・クリバリ

イスマイル・ヤコブス

ユースフ・サバリ

アブドゥ・ディアロ

MF

ナンパリス・メンディ

パテ・シス

クレパン・ディアッタ

イスマイラ・サール

FW

ブライェ・ディア

イリマン・エンディアイ

(ABEMA/FIFA ワールドカップ カタール 2022)