●クロアチア代表の対応力を生む“職人”の組合せ

サッカー日本代表は現地時間5日、FIFAワールドカップカタール2022ラウンド16でクロアチア代表と対戦する。前回大会で準優勝に輝いたクロアチア代表は、どのようにして現在のプレースタイルにたどり着いたのか。2022年カタール・ワールドカップに出場する32カ国+αの「プレースタイル」に焦点を当て、その変遷を辿る好評発売中の『フットボール代表プレースタイル図鑑』より、クロアチア代表の章を一部抜粋して紹介する。(文:西部謙司)
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 その抜群の力量と影響力ゆえにチームにとって不可欠になり、その選手がいるといないとではチーム全体の構成や戦い方が変わってしまいかねない。そこで、チームのハブとなる特別な選手を消耗させないような配慮をするわけだ。全員がハードワークする現代サッカーの流れに逆行するようだが、選手寿命の延びに対応したやり方といえる。

 クロアチアは旧ユーゴ時代から名選手を輩出してきた。各ポジションに求められる才能は何かという点で育成時から共通の認識があるため、DFはDFらしい、MFにはMFらしい選手が切れ目なく出てきている。そのため代表チームのプレースタイルはオーソドックスだ。特異な戦い方はせず、攻撃的にも守備的にもなる全方位的なチームになっている。

 ポジションのイメージが明確な中で育ったトップレベルの選手を集めた代表チームはいわば専門職を集めた編成になる。職人の組み合わせになるチームの見た目は何の変哲もない。一方で、特殊な相手に対しての対応力はある。相手のシステムと噛み合わせが悪くても、クロアチアはそのまま対応する。結果的にクロアチアのシステムも変わってしまうのだが、それで問題なくやれるのが強みだ。

 頑固なのか柔軟なのかよくわからないが、それで対応できる個々の能力の高さがあり、ある意味、監督があまり考えなくても機能するチームになっている。クラブチームでいえばレアル・マドリーに近いかもしれない。古風なようで最先端の相手にも職人芸で対応できる。どちらのチームでも頭脳となっているモドリッチがキーマンだ。

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