タレント集団がオーストラリアに敗北

3日よりFIFAワールドカップ・カタール大会は決勝トーナメントへ突入。グループCを首位通過したアルゼンチン代表はグループDを2位で通過したオーストラリア代表と顔を合わせ、2-1の激闘を制した。

オーストラリアの粘りは見事だったが、このスポットを狙っていたチームがある。昨夏のEURO2020でベスト4に入り、今大会のダークホースとも言われていたデンマーク代表だ。

グループDの顔ぶれは前回王者フランス、オーストラリア、チュニジア、デンマークとなっており、デンマークはフランスに次ぐ2位通過を想定していたことだろう。大会前の評価も高く、本来ならばアルゼンチンと激突していたのはデンマークのはずだった。

しかし、デンマークはグループステージで1勝も挙げられなかった。EURO2020ベスト4のメンバーが多く残っているが、思うように機能しなかった印象だ。

怪我人が出ていたのも痛い。MFクリスティアン・ノアゴール、DFシモン・ケアーらは怪我明けでコンディションが上がらず、EURO2020で大ブレイクしたFWミッケル・ダムスゴーもEURO後に大怪我を経験。それ以降の評価はあまり伸びていない。

特長的だったのは、指揮官のカスパー・ヒュルマンドがグループ3試合すべてで異なるセンターフォワードを先発させたことだ。初戦のチュニジア戦はカスパー・ドルベリ、第2戦のフランス戦は大型FWアンドレアス・コーネリウス、そして第3戦のオーストラリア戦はスピードのあるマルティン・ブライトバイテだ。

それぞれ特長が異なり、いずれもレベルの高いアタッカーではある。しかし『The Athletic』はヒュルマンドが信頼するスタイルを見失っていた証拠ではないかと厳しい指摘をしている。チュニジア戦をスコアレスドローで終えたのが誤算だったのか、戦い方がブレてしまった部分があったか。

攻撃陣はベンチにもユスフ・ポウルセン、若いヨナス・ウィンドなど実力者が揃っており、今のデンマークは同国史上最強とも言われるほど層が厚いチームだ。しかし、これだけのアタッカーを抱えながらグループステージではフランス戦での1ゴールのみに終わった。

同メディアは突破力のある左ウイングのヨアキム・メーレに頼りすぎていたと総括しており、ダークホース候補と言われたチームが未勝利で大会を去るのは予想外だった。選手たちは最終節のオーストラリアに勝って2位通過するビジョンを描いていたはずだが、勝ったのはオーストラリアだった。アルゼンチン相手の健闘を見ても、組織として戦い方が明確だったのはオーストラリアの方か。

EURO2020ベスト4のチームがあっさりグループで沈むのもワールドカップの面白いところで、デンマークにとっては残念な大会となってしまった。