FIFAワールドカップ2022でベスト8進出を目指す日本代表の攻撃の軸を担うのが、鎌田大地だ。大会前は、厳しい戦いが予想されたが、一位で突破した。3試合が終わって日本チームの変化や成長をどう感じているのか。

「成長しているのかは分からないですけど、強豪国とワールドカップという大きな舞台で戦って、しっかり勝ち切れているというのは間違いなく過去にはなかったことだし、自分たちが強豪国相手に対してもできるというのを世界に証明していると思いますし、そういう面で自分たちというよりも周りからの評価っていうのはすごい変わっていると思います」

【映像】“アイスマン”鎌田大地の素顔

初のベスト8進出をかけ、次なる相手は前回大会準優勝のクロアチア。鎌田は、クロアチアの印象はどう感じているのか。

「世界的に有名な選手もたくさんいますし、前回ワールドカップ準優勝しているチームなので、チームとしても個人としてもクオリティーがあるので、すごい良いチームだとは思いますけど、自分たちも勝てるチャンスはたくさんあると思うので、しっかりチームとして良い戦いをして良い結果につながればいいと思います。今はディフェンス面の役割が多くなっていると思いますけど、個人的には結果も欲しいし、チャンスがあれば結果が残せたらいいなというふうに思います」

どんな状況や質問でもポーカーフェイスを崩さない鎌田は、アイスマンの異名を持つ。そんな鎌田にはプロサッカー選手への道を自力で切り開いてきた背景には、両親とのある誓いがあった。鎌田のこれまでの歩みを過去のインタビューから紹介する。

鎌田は、「中学生のときに親と『サッカー選手になって楽をさせる』と約束をしていた。その理由として「僕が大阪に出てからお母さんが働き始めたりしたのも見ていたので、絶対にお金持ちになってやろうと思っていた」と告白した。

「サッカー選手は選手寿命がそんなに長くないし、サッカー人生で一生分稼ぎたいと思っている。サッカー選手は自分の夢でもあり、家族も自分にお金をかけてくれたから、僕だけじゃなくて家族の想いもある」と、これまで応援してくれた存在へ感謝の言葉を口にした。

そして、限られた時間で勝負すべく、2017年に鎌田は海外リーグでの活躍を夢見てドイツへ渡る。

「ヨーロッパで絶対に成功する覚悟を決めて出ていった。片道切符だと思って海外に出たし、日本に帰るくらいならサッカーを辞めるくらいの覚悟を持っていた」と当時の心境を明かす。背水の陣の覚悟で臨んだベルギーでの2019年シーズンは12得点をあげる活躍を見せ、見事に結果を残した。そして、同年ついに日本代表に初選出。

シント=トロイデンと日本代表での活躍が認められ、2020年に鎌田は再びフランクフルトへ復帰。着実に結果を残し、監督から信頼を勝ち取ると、2022年5月にはヨーロッパリーグでチームを42年ぶりの優勝に導いた。

このとき「人生で初めて嬉し泣きをした。自分って嬉しくて泣けるんだ。そういう人間の感情を持っているんだ」と実感したという。優勝を経て、これまでのサッカー人生において、うまくいっていなかったときの様子がフラッシュバックしたと明かしつつ、「うまくいっている未来の自分を想像しながら、やり続けるって言うのは難しいことだけど、それを20数年間続けてきて報われたと感じたし、本当に感慨深かった」と喜びをかみしめた。

優勝を経験してもなお、まだまだ日本人の価値は高くないと肌で感じるという鎌田は、「本当に実力がないとヨーロッパでやっていけない」と厳しい現実を口にしつつ、カタールワールドカップは、「日本人の価値を高めることがすごく大事」と決意を語った。

そんな覚悟を持っていたから、ドイツ・スペイン・コスタリカと難しいグループに入った際も「自分たちは常に決勝トーナメントに上がれると思っていたし、ベスト8に新しい日本の歴史が作れると、皆が心の底から思ってたと思うし、それが今できるチャンスが目の前にあるんで、しっかり良い試合をして、日本の新しい歴史を作れたらいいなと思いますね」

期待の大きさから、“不調”とも言われる鎌田だが、1点でも決めれば全てが変わるだろう。能力に疑いの余地は無く、これまでの歩みを自信に変えて、来るべきチャンスを掴んでほしい。それが、日本代表の悲願達成となるゴールになることを。

(ABEMA/FIFA ワールドカップ カタール 2022)