サッカー日本代表は現地5日、カタールワールドカップの決勝トーナメント1回戦でクロアチア代表に敗れた。1-1のまま突入した延長戦でも決着がつかず、PK戦の末に敗退となってしまった。

 クロアチア代表の猛攻をしのぎきってPK戦に持ち込み、日本サポーターが数多く陣取るサイドで最後の勝負に挑めることになった。しかし、先攻の日本代表で1人目のキッカーを担ったMF南野拓実のシュートは相手GKドミニク・リヴァコヴィッチに止められてしまった。

 その後、3人目のFW浅野拓磨は成功させたが、2人目のFW三笘薫と4人目のDF吉田麻也が蹴ったPKはリヴァコヴィッチにストップされてしまう。まさかの3人失敗だ。クロアチア代表は3人目のFWマルコ・リヴァヤ以外は全員成功させ、4人目のMFマリオ・パシャリッチがPKを決めたところで準々決勝進出を確定させた。

 日本サッカー史上初のベスト8進出まで、本当にあと一歩だった。2010年南アフリカ大会と同じくPK戦までもつれ込みながらの敗退に、選手たちはがっくりと肩を落とす。2人目のキッカーとして失敗してしまった三笘は「PKを蹴った責任はある。(チームに)迷惑をかけたなと思います」とうなだれた。

 PKのキッカーと順番は選手たちで決めた。ただ、「権ちゃん(GK権田修一)が1本は止めてくれると思っていましたけど、僕も含めて3本外したら流石にきつい」と4番手のキッカーだった吉田は語る。

 日本代表のキャプテンがPKを蹴るのは、2021年の東京五輪以来。当時と同じコースに蹴り込んだが「研究されていたかも。映像はたぶんそれしかないから」と自らの判断を悔やむ。三笘や吉田と同じくPKを失敗した南野は試合後の取材エリアを無言で通過したが、その表情には悔恨の念が浮かんでいた。

 ワールドカップで日本サッカー史上初のベスト8がかかったPK戦。どれほど大きな重圧がかかるか、想像を絶する。たとえ失敗したとしても、あの場でPKキッカーに名乗り出た選手たちの勇気は称賛されるべきだろう。

 かつてイタリア代表で活躍したファンタジスタ、ロベルト・バッジョ氏が残した「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持つ者だけだ」という言葉をどうしても思い出してしまう。

 森保一監督は記者会見で「PKに成功、失敗はあると思いますけど、プレッシャーがかかる中、勇気を持ってチャレンジすることを選手たちは見せてくれた。そのチャレンジを称えたいと思います」とPK戦でキッカーを務めた勇敢な選手たちに賛辞を送った。

 すでに交代しておりベンチからPK戦を見守ったMF守田英正も「PKを蹴った選手を、僕は本当に誇りに思います。悔しそうにしていましたけど、あの状況で手を挙げて、蹴る姿勢を見せられるのは本当に格好いい。誰も責めないと思います」と述べ、改めて「PK戦になる前に決着をつけるべきだった」と自分たちの力不足を悔やんでいた。

 日本代表で唯一PKを成功させた浅野は「僕自身、失うものはない。日本の勝利のために何ができるかと言ったら、PKを蹴る選手を決める中で自分が手を挙げて日本のためにPKを決めること。PK戦になった瞬間、僕にはそれしかできないので、自信を持って蹴りました」と胸を張った。

 他の3人も、失敗したとはいえ「自分が日本を助けるんだと思って蹴った」浅野と同じ思いでPKを蹴ったはずだ。リヴァコヴィッチは優秀なPKストッパーとして知られるGKであり、PK戦には運も大きく関係してくるだけに、吉田や三笘、南野を非難することはできない。

 ベンチで行方を見守っていたGK川島永嗣は「PKを蹴ったのは、自分たちから進んで決断した勇気ある選手だと思います。こういう結果(敗退)になってしまったのは本当に残念ですけど、1人ひとり顔を上げて、やってきたことを誇っていいんじゃないか」と語った。

 それに呼応するようにDF酒井宏樹も「蹴った彼らの勇気はもちろん称えたいですし、外したからといってダメではなく、僕ら26人が託した5人だった。本当に外したから何かというのはないです。批判はどうしてもまとわりついてしまうものではあるでしょうが、そこはこれからのサッカー人生の糧にして頑張って欲しいです」とPKキッカーを務めた選手たちにエールを送った。

 PK戦が終わると、すぐに三笘や南野らに駆け寄ったのはDF長友佑都だった。「PKを外してしまった(三笘)薫や(南野)拓実が泣いていたんですけど、勇気を持って蹴ったことを称賛しました。彼らは強いなと。自分から手を挙げて蹴ると言った。その勇気を僕は誇りに思うし、感謝したいと思います」と、自らの行動に込めた思いを語る。

 あと一歩のところで目標のベスト8には届かなかったが、日本代表は見る者の心を奪うような戦いぶりで今大会最大のサプライズチームになった。準々決勝に進出するに値する力があると示すこともできただろう。まずは胸を張って、顔を上げて、次に進む。この胸の奥底から湧き出てくるような悔しさは4年後に同じワールドカップの舞台で晴らすしかない。

(取材・文:舩木渉)

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