クロアチア戦のPK戦、キッカーは挙手制で決まる
日本代表は12月5日、カタール・ワールドカップ(W杯)のラウンド16で、クロアチア代表と120分の死闘を1-1で終え、PK戦の末に1-3で敗れた。PK戦の前、森保一監督は、選手たちに立候補を募り、それに応じる形で選手たちはPKのキッカーを務めた。
一番手に登場したのは、MF南野拓実(ASモナコ)だった。今夏、イングランド1部リバプールから、フランス1部モナコへ移籍した南野だが、リバプールへ加入する前に所属していたオーストリア1部RBザルツブルク時代の勢いはなく、キャリアでも苦しい時期を過ごしている。
「PKには自信があった。自信があったから、1番か5番を蹴ろうと思っていたが、5秒くらい、誰も手を挙げなかったから『じゃあ、俺が』と手を挙げた」と、この時の状況を振り返っている。
PKキッカーの順番を、選手たちの立候補で決めることは、決して悪いことではないだろう。『決めることができる』と自信を持ってPKスポットに行く選手のほうが、『外したらどうしよう』というメンタルの選手よりも、精度の高いキックが期待できるはずだ。
南野はPKキッカーを挙手制で決めることについて問われると「どうですかね、どっちでもいいと思う」と切り出した。「(森保監督は)オリンピックの時のニュージーランド戦は、それでうまくいっていたという話を選手たちにしていた。かつ森保さんは広島で指揮を執っていた時にPKが強かったと聞いている。だから、それは監督の最高の選択だったと思う。それに応えられなかった僕が不甲斐ない」と、語った。
試合後、気持ちの整理ができないまま、無言でミックスゾーンを通り過ぎた南野は、バスに乗る前、森保監督から「PK、一番に蹴ってくれてありがとう。この大会で大変な役回りになったけれど、嫌な顔を一つせず、チームを支えてくれてありがとう」と声をかけられたという。それに対しては「半泣きで『PK外してすみません』としか言えなかった」と、南野は振り返った。
大きな悔しさを味わった南野だが、「個人的には、絶対に4年後のW杯に出てリベンジしたいと思う。絶対に選手としてレベルアップして、この場に帰ってきたいと思います」と、早くも4年後の大会を見据えた。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)