現地時間12月6日に行なわれたカタール・ワールドカップのラウンド16、スイス戦でポルトガル代表のフェルナンド・サントス監督は思い切った決断に出る。エースにして、チームの大黒柱であるクリスティアーノ・ロナウドをベンチスタートに。代わりに21歳のFWゴンサロ・ラモスを抜擢したのだ。

 ポルトガルの名門ベンフィカでアカデミーから昇格し、今シーズンは9得点を記録しているG・ラモスは、9月のネーションズリーグでA代表に初招集されたが、その時に出番はなかった。それでも26人のメンバーに滑り込むと、11月18日のナイジェリア戦で後半途中から投入されて、ラファエル・ゲレイロのアシストから代表初ゴールを決めた。

 カタールW杯のグループステージではガーナ戦(3-2)、ウルグアイ戦(2-0)ともに終盤、C・ロナウドに代わってピッチに立っている。F・サントス監督は百戦錬磨の戦術家である一方で、経験豊富なマネジャーでもある。おそらく大エースのC・ロナウドが納得いく形での交代であり、スイス戦でG・ラモスがスタメン起用される伏線はこの時点から引かれていた。

 そのスイス戦でゴールラッシュの口火を切ったのがG・ラモスだった。左のスローインからジョアン・フェリックスがつなぐと、ボールを収めたG・ラモスは角度の厳しいところから左足を振り抜いてニアハイにシュートを突き刺したのだ。

 ベンチから我先に飛び出してG・ラモスを祝福するG・ロナウドの姿に、いかにこの若きタレントが才能を見込まれているかが表われている。

 ペペの得点で2-0とリードしたポルトガルは、後半の早々に勝負の大勢を決する。ディオゴ・ダロの縦の仕掛けから、高速のショートクロスにG・ラモスが素早く反応し、左足のつま先でコースを変えて、名手ヤン・ゾマーの股下を破った。
 
 その後、4-1となった状況で、GKディオゴ・コスタから繋がれたボールを最前線で受けたG・ラモスは、ゾマーとの1対1を見事に制してハットトリックを達成した。

 局面で見せるテクニックやシュート力もさることながら、その落ち着きが目を見張る。オフ・ザ・ボールでもゴールがイメージできているのだろう。相手のディフェンスやGKにとっても非常に対応しにくい選手であることが伝わってくるストライカーだ。

 ラファエウ・レオンのダメ押しゴールで6-1の大勝を飾ったポルトガル。37歳のC・ロナウドは健在だが、23歳のJ・フェリックス、同じく23歳のレオンといったヤングタレントが、チームに勢いをもたらしている。そこにG・ラモスという新たなストライカーが出てきた。

 EURO2016で欧州を制したポルトガルだが、いまだW杯の優勝はない。GSでは2連勝で迎えた韓国戦(1-2)は敗戦と躓いてしまったが、難敵スイスに大勝したことで、勢いを感じる。そこでC・ロナウドとG・ラモスという新旧エースがポルトガルを世界制覇に導くか。大注目だ。

取材・文●河治良幸

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